SAO:tr1―双子の兄妹―
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が最終目標である。
「でも二ヵ月で八層しか行けなかったのね」
「そりゃあ、いろいろと試したい事があったし、なんだかんだ言ってもベータテストだ。やれる事だけはやったつもりだ」
ちょっと煽っても余裕の態度を示す兄。思えば、ベータテスト期間中の兄は活き活きしていたというか、SAOの事だけしか考えていなかったというか、子供がわくわくしながらゲームをする子供の様だったわね。いや、中学二年生はまだ子供だよね。
でもその反動、ベータテストが終わったら喪失感は……なんか笑えたわね。
「おめぇ、相当ハマっているな」
「ゲームバカですよ、この人は」
「おいおい、キリカ。それは褒め言葉だぞ」
そんな他愛のないやり取りをしつつ、私達はもう少しだけ雑談をしていた。
「さて、二人共どうする? 勘が掴めるまで、もう少し続けるか?」
「ったりめぇよ! ……と、言いてぇところだが……」
兄はクラインに訊ねると、クラインはお腹を抑えた。
「トイレ行きたいの?」
「違げぇよ! メシだ、メシ!」
そうかもうそんな時間か。なんだかんだで結構経っているし、人によっては夕食時だよね。
私は視界の端に表示されている時刻を確認した。
「あぁ……もう五時過ぎているのね」
「そういうわけだから腹減ったし、俺は一回落ちるわ。へへっ、五時半にはアツアツのピサを注文しといたんだぜ」
「準備万端だな」
呆れ声を出す兄に、クラインは胸を張る。
「おうよ! 飯食ったらまたログインするからよ。あ、そうだ。俺、飯食ったら他のゲームで知り合った奴と『はじまりの街で』落ち合う約束をしてるんだ。どうだ、あいつらともフレンド登録しねぇか?」
「そうだな……」
私は気軽に返答しようと思った矢先、隣にいる兄が口ごもってしまう瞬間を見てしまった。
……正直言えば、兄は友達作りが苦手だし、ネガティブだし暗いし、コミュ障気味で、人付き合いが苦手なタイプである。本来だったら、クラインのレクチャーを頼まれて引き受けたのも珍しいと言える。
そしてその割にはキザな言動を取るところがあるから困った兄である。
でも私もあんまり人の事言えないけどね。言うほどポジティブな性格じゃないし、人付き合いもそこまで上手くはない。友達百人作るんだったら、五人ぐらいで満足しちゃうタイプだと私は思っている。
で、兄の歯切れが悪い理由は、紹介した人達と上手くやれるかどうかを気にしているんだろう。
兄が困っているのなら、妹の私がなんとかするしかないね。
「あー悪い、クライン。またの機会でお願いしたい、かな」
「おうよ。無理に言う必要はねぇって。そのうち、紹介する機会もあるだろうしな」
「キリトもそれでいいよね?」
「ああ……悪いな、ク
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