SAO:tr1―双子の兄妹―
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同時に、私の中で不安を覚えてしまった。
贅沢は言わないけど、私に対して必ずとは言って欲しくはなかった。それを破られた時、きっと兄は深い後悔に呑み込まれしまいそうだ。
そうなった兄を……私は見たくない。
もし……私の弱音が、時に兄の負荷をかけてしまうとしたら、あんまり頼りにしちゃ駄目だよね……。
本当は今すぐ家に帰りたい。思いっきり兄に甘えて泣きたいこともあるけど、少しでも兄に負担かけない様に頑張らないと。
「ありがとう」
私も精一杯頑張る。
「よし、行こう」
「あぁ」
私は兄の後ろへ着いてく。『はじまりの街』のゲートをくぐり、広大な草原と森林地帯を駆け抜け、新しい拠点となる小さな村へと駆け抜けた。
●
「んっ…………」
目が覚めるとそこは今現在拠点となっているとそこは村にある宿ではなく、街にある自分の部屋にいた。
あれ、さっきのは出来事は…………夢か。
私は改めて周りを見渡す。
どこからどう見ても現実世界の自分の部屋ではなく、今現在使用している自分の部屋だった。
「……全部が夢だったらなぁ……」
誰に伝えることもなく、独り言を口にする。
今となっては懐かしい始まり、そして楽しいゲームとしての終わりの出来事。それでもあの出来事は懸命に覚えていた。
あれからもう……約二年は経過した。
現在七十四層まで攻略、残り二十六。それまでに生き残っているプレイヤーはおよそ六千人まで減少してしまった。
この約二年間……いろいろとあった。良くも悪くも、もう一つ世界であり新しい日常に私は少なからず影響を与えていた。
あの時、兄の味方だと言っていた私は、そんな兄と別々で行動している。一時期はお互いに敬遠していたこともあったけど、今は仲の良い兄妹に戻っている。
人生何が起こるかわからない。疑いもせず、わくわくしていたソードアート・オンラインが生死をかけてゲームクリアをするなんて夢にも思わなかった。
それの繰り返しなんだ。生きるってことはそういう事なんだろう……。
「……いけないいけない」
暗い気持ちになりそうだったので、わざわざ口に出して気を確かめる様に顔を軽く両手で叩いた。
私は時刻を確認する。
現在時刻は八時十五分。アラーム設定よりも十五分早く起きてしまった様だ。
アラームよりも先に起きるのは何かもったいない気持ちが沸いてしまうわね。
完全に目を覚ました私はウインドウを開いて、ステータスウインドウに指で滑らせ、装備フィギアを操作して衣服の変更をする。
白いパジャマ姿から白いハーフパンツの様なものと、白いロングコートをまとい、そして髪をサイドテールにして準備完了。
「さて、行きますか!」
理不尽にも茅場晶彦に
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