暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンラインーツインズ・リブートー
SAO:tr1―双子の兄妹―
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ている。
 私はそれがなんなのかはわからない。
 けど周りの反応は一部の人だけが正体を知っていた様だ。「あれ、GM」とか「なんで顔がないの?」など聞こえてくる。
 少なくともあれはGMで本来は顔とかあったんだろう。
 仮に紅いローブがGMだったとしよう。彼は何しに現れた? アナウンスだけだとしたら、演出する必要はないはずだ。
 そんな疑問を抱えていると、ざわつきを抑えるかのように、右袖を動かす。そして低くて落ち着いた透き通る男の声が『はじまりの街』を包むように渡らせた。

『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』

 挨拶から始まり、そして紅いローブは一呼吸つく様に発した。

『私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』

 紅いローブが名乗った瞬間。

「な…………っ」

 隣にいた兄が驚愕する。
 茅場晶彦。…………奴は確かにそう名乗った。
 私が知り限りの茅場晶彦と言えば、若き天才ゲームデザイナーであり、量子物理学者であり、SAOの開発ディレクターでもあり、ナーヴギアそのものを基礎設計者の人。つまりソードアート・オンラインというゲームができたのも茅場晶彦の存在がいたからこそ実現出来ていた。ただ、露出を極力避け、目立つ人ではないそうだ。
 あんまりそういうのに詳しくない私でも、彼がすごい人だというのは理解している。
 私は兄が茅場晶彦に憧れを抱いている事を知っている。というか私に熱弁するほど、彼を尊敬していたんだと思う。
 その人が今、上空に現れている。でもなぜ幽霊の様な紅いローブだけを私達に見せつけているのだろうか? 茅場晶彦自らアナウンスをしようと言うのだろうか?
 …………何が目的なの?
 その疑問は最悪な形で知る事になってしまった。

『プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅している事に気がついているだろう。しかし、それはゲームの不具合ではない』

 …………なっ!?

『繰り返す。これは不具合ではなく、ソードアート・オンライン本来の仕様である。諸君は、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトする事はできない』

 仕様……茅場晶彦は確かにそう告げた。
 ログアウトできないのはバグではなく、運営からの仕様。
 つまり、現実世界に戻れないのも不具合ではなく運営が仕組んだものだという事をGM直々から伝えてきた。
 そして現実世界に戻れるのは、城……つまりこの世界の舞台となっている浮遊城アイングラッドをクリアするまで私達はできないのではなかろうか。
 その事実を知った私は湧き上がる怒りを抱き始めた。
 でも私は自分に言い聞かせる様に落ち着かせる努力をした。
 落ち着きなさい、落ち着け私。ここで茅場晶彦に怒りをぶつけて
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