ドア越しの攻防
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ふえっ!?」
気付いたらインヴェスの顔を見つめていた事に気が付いた。美しい中性的な顔立ちの彼が、ミーアに向けて柔和な微笑みを向けていた。その目には、先程までは掛けられていなかった眼鏡が掛けられており、知的でクールな印象を彼にプラスしていた。その海のように深い蒼の瞳を見ていると、何だか不思議と頭の中がポワンとしてくる。まるで、瞳の中に吸い込まれてしまいそうな……
「ゴホン。あ〜、インヴェスよぉ……客の対応するのに茶の一杯も出さないと言うのは如何なもんかな?」
「おっと失敬、これは失念していた。接客としてはあるまじきミスだね、ハハハ。お2人とも紅茶でいいかな?」
そう言って軽薄に笑いながら立ち上がったインヴェスは、キッチンに向かったのだろう違う部屋へと引っ込んだ。その去り際、ハリーを睨んだような気がしたミーアである。
「インヴェスさんって、何だかいい人そうですね!」
「……どうだかな」
ハリーは渋い顔をしている。苦虫を一万匹程口に押し込まれたかのような顔をしている。だが、ミーアにはその理由が解らない。
「あ、美味しい」
「そうですか?久し振りにお茶を淹れた物で。腕が落ちていないか些か心配していたのですよ」
インヴェスが淹れてきた紅茶は素晴らしく美味しかった。エルフの森で高級なお茶を飲んできたミーアの舌を唸らせる程に。
「さて、改めてお話を伺いましょうか?」
「はっ、はい!よろしくお願いします!」
そしてミーアはハリーにもしたような説明を再び繰り返した。自分の身元、探してほしい人物。居なくなった時の状況等々。思い出せるだけの情報を話していく。インヴェスは探偵らしく相槌を打ちながら手帳にメモを取っていく。暫くはその問答が続いたのだが、ミーアがモジモジとし始めた。
「どうしました?ミーアさん」
「あの、その、ちょっとお手洗いを……」
そんなに飲んだとは思わなかったのだが、トイレに行きたくなってしまったのである。
「すいませんねぇ、何分古い建物なので、トイレは共同なんです。この部屋を出て左に曲がり、突き当たりのドアがトイレになっています」
「す、すいません!行ってきますっ!」
ミーアは我慢の限界が近かったのか、部屋をバタバタと出ていった。部屋に訪れる沈黙。と、それまで黙り込んでいたハリーが口を開いた。
「インヴェス、てめぇ紅茶に盛りやがったな?」
「たりめぇだろ?良い子ちゃんのイケメンインヴェス君のフリは疲れんだよ」
そう言って懐からタバコを取り出し、人差し指の先に小さな炎を灯して火を付ける。そして両足をテーブルの上に投げ出すと、ぷか〜っと紫煙を輪にして吐き出した。先程までの紳士なインヴェスは演技だったのである。今の
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