無印編
ジュエルシードを求めて
過去からの来訪者
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
い。不意の突撃が相当意表をついたようで、結界の端に着いた時にようやく相手は体勢を立て直した。
「ユーノ君!」
「うん!」
慌てたようにこちらに向かって来る女の子を見て、少しだけ自分に呵責を覚えながら結界から離脱した。
グレンは剣闘奴隷の出だ。その剣技は生き残るための剣であり、圧倒的力の差を覆す技だ。勿論、そこに優美さや駆け引きなどの読み合いは無く、いかに自分を殺そうとする相手を自分が殺される前に殺すかを追求したものだった。生き残るためにグレンは強くなり続け、やがてリリア様の目に留まり、剣神と名指された。それが弱冠8歳の頃と俺は聞いてる。それから5年後に俺がリリア様に拾われた頃には名実ともに統一次元世界最強の剣士として奴は君臨していた。
奴が手にする剣もまた特別製だ。女王直下の6柱が手にする固有の武器は《神器》と呼ばれ、特徴として、全て同じ素材から作られてる。使われている鉱物元来の属性《魔力吸収・蓄積》と《不壊》がそのまま作用するように概念的に加工されたグレンの剣は銘を《神の涙》。如何な防御も魔力・物理関係なく問答無用で粉砕する。
「ふっ……??」
「……ッ??」
必殺の剣と必殺の技が一体となり、絶死の一撃が振るわれる。あらゆる条理を一笑して敵を殺すその一撃を群青色の魔法陣が受け止め、弾き返した。
「腕は鈍っていないようだな」
「……お前も数千年寝てた割には技が冴えてるな」
一方、俺はリリア様に拾われた後しばらくして、ご息女の護衛として仕えることになったので防御や結界の魔法を教わり、神器もそれに応じたものを下賜された。
要するにグレンが攻撃に特化しているのに対し、俺は守りに特化している。剣士として人外の領域に至ったグレンを何とか捌けているのはそれが理由だった。
攻撃と防御の衝突1つ1つに自らの全力を込め、グレンが上回れば防御を切り裂き、俺が上回れば弾き返す。
反撃の糸口は無かったが、グレンもまたこれ以上は攻め入れない様子だ。
(まあそれも、奴が俺をここに釘付けすることを前提に動いているだけだからだが……)
恐らく俺が本調子じゃないのはバレてるし、じきに限界が来るのも読まれている。奴が本気なら俺はもう戦闘不能でみっともなく地面に這いつくばっているだろう。本当ならさっさと逃亡したいところだが、少しでもグレンから気を逸らせば無視できないダメージが体に刻まれる。
その時、結界が一時的に綻ぶのが直感的に伝わって来た。
「……む」
「予想が外れたみたいだな」
俺にはなのはたちが結界の外へ離脱していったのが感じ取れた。この時点で外とこの結界の中では時間にズレが生じているので、結界を張った俺が制御を放棄しない限りなのはとの時間的距離は増えていく一方だっ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ