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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十二話 それぞれのかたち
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、両親や姉だけじゃなく、家族そのものを俺から奪っていったんだ。

《リンディ様、管制室のエイミィ様から通信連絡です》

 沈黙を破るようにアマネの淡々とした声でリンディさんが顔を上げ、アマネの置かれたテーブルの方を向く。

 俺も釣られるようにアマネの方を向くと、音声はアマネからエイミィの声に変わる。

《艦長。 捜索していた敵がアジトを発見しました》

 それはきっとフェイトの実家。

 そして、フェイトをこの戦いに導いた張本人……フェイトの親がいる場所。

 ジュエルシード捜索と並行して行っていたのだろう。

《ケイジさんがすぐにでも部隊を作って出動すると申し出てますが?》

 ああ、あの人らしい。

 『情報を入手できたと言う情報を、相手側が入手していると思え。 情報入手後は時間を空けちゃいけない』。

 それがケイジさんのやり方だ。

 だからアジトが分かったなら、相手もアジトがバレたことを知って逃走の準備をしている可能性があって、その前に現場へ向かうことで犯人逮捕の成功率が上がるってわけだ。

 とはいえ、今から隊を作るとなればリンディさんの許可や権限が必要になる。

「分かりました。 すぐにそちらに戻るのでケイジさんには隊に入れたい人をリストにまとめるよう伝えてください」

《分かりました!》

 エイミィの返事と共に通信は切れ、リンディさんはため息混じりに椅子から立ち上がった。

「お話の通り、管制室に戻るわね」

 リンディさんは申し訳なさそうに腰を低くしながらそういった。

 俺はできるだけ罪悪感を抱かせないように笑を作り、首を左右にふる。

 結局、俺はリンディさんに家族として接することができなかった。

 それはリンディさんにも言えることだけど、この場にいる時間が意味のない時間になってしまったような気がして申し訳なかった。

「食事を用意してもらうよう伝えておくから、すぐに来ると思うわ」

「分かった」

 短い返事を終えると、リンディさんは無言で頷いて俺に背を向ける。

 病室のドアへ向かう背中からは、立派な大人の凛とした雰囲気が流れていて、自嘲的な笑みをこぼしてしまう。

 俺はリンディさんのその背中を、立派な母親ではなく、憧れの上司の背中だと思ってしまったのだ。

 ホント、家族って考えることができない自分が恨めしい。

 そう思いながら見つめ、リンディさんが開いたドアから出ていこうとした時、彼女は立ち止まった。

「黒鐘」

「はい?」

「行ってきます」

「っ!?」

 なんだろう? なんて軽い気分だったから、不意打ちのような言葉に衝撃を受けた。

 優しい口調、優しい声音で、その言葉の意味
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