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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六十一話 密謀
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んだな、冷める前に食べよう!
「もっともあまりに完勝すぎて何故イゼルローン要塞を攻略しないのかと不満が出たのには参ったがね」
トリューニヒトが俺を見て軽く苦笑を漏らす。文句あんのかよ、要塞は攻めない、そう決めただろ。俺がむっとするとトリューニヒトは直ぐに顔を引き締めた。
「イゼルローン要塞を攻略して帝国領へ攻め込む千載一遇のチャンスだと、そのチャンスを失ったと何人もの人間が不満を言ってきた。実際にイゼルローン要塞を攻略していれば専守防衛どころか大規模な出兵案が出ていたかもしれない。危ない所だった……」
トリューニヒトが溜息を吐いた。
「イゼルローン要塞はビンの蓋だ。あれが有るから帝国領出兵などという馬鹿げた案は抑えられているが、蓋が無くなればあっという間に出兵論は壜から吹き出す、気が付けばビンは空になっているだろう」
今度はレベロが首を振っている。
「まあ連中も君が帝国に毒を流し込んだと分かってからは大人しくなったがね。それにしても随分ときつい毒を流し込んだものだ」
「毒かもしれませんが真実でもあります」
だからこそ効き目が有る。トリューニヒト、お前さんに皮肉られても痛くも痒くもないな。嬉しそうな顔をしても無駄だ。
「知らないほうが幸せだと言う真実も有る、違うかね」
「だから一生盲目の奴隷で居ろと……。民主共和政を信奉する政治家の言葉とは思えませんね。専制君主の有能な忠臣の言葉ですよ、それは。第二のリヒテンラーデ侯です」
俺の皮肉にトリューニヒトは苦笑を漏らした。他の三人も苦笑している。ピザが美味いぜ。
原作では出兵案が出ている。その所為で同盟は亡国への道を歩き始めた。イゼルローン要塞は同盟にとっては鬼門と言って良いだろう。それがようやくこの連中にも実感できたらしい。結構な事だ。
少しの間沈黙が有った。皆が難しそうな表情をしている。流石に俺もピザを食べるのは控えた。誰か沈黙を破れよ、ピザが冷めるぞ!
「さて、ヴァレンシュタイン准将、以前君が言っていた不確定要因、フリードリヒ四世が死んだ。世間では君が呪い殺したと言っているようだが、この後君は帝国はどうなると見ている?」
嬉しそうに聞こえたのは俺の耳がおかしい所為かな、トリューニヒト君? 君の笑顔を見るとおかしいのは君の根性のように思えるんだがね、このロクデナシが! 何が呪い殺しただ、俺は右手に水晶、左手に骸骨を持った未開部族の呪術師か? お前を呪い殺してやりたくなってきたぞ、トリューニヒト。 俺は腹立ちまぎれにミートソースのピザを一口食べて、水を飲んだ。少し塩辛い感じがする。釣られたのか、他の四人も思い思いにピザを手に取った。
「帝国は混乱するでしょうね」
俺の言葉にトリューニヒト、レベロ、ホアン、シトレが顔を見合わせた。ピザを食べな
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