舞い込んだ依頼
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森を出て、ハンターとなりこの街に住み着いた。エルフの高い魔法の素養と弓の腕で着実に成果を上げていた2人は順風満帆、何の問題も無かった。ある日突然、買い物に出たっきりレーナが帰って来なくなるまでは。
「冒険者の失踪、もしくは誘拐か……」
エルフというのはその種族というだけで価値がある。人とは違う魔法の素養の高さを研究したがるマッドな輩や、その美貌を求める変態貴族や豪商等にならばさぞ高く売れる事だろう。しかも彼女の身分は冒険者。出入りの多いこの職業ならば、居なくなった所で大きな騒ぎにはならない。
「単身で依頼(クエスト)を受けた可能性は?」
「ありません。ギルドでも確認したので間違いないです」
う〜む、とハリーは唸った。2人が仲違いした、等の理由があればリーナ1人がこの街を去ったという事で決着も着くだろう。しかし彼女が居なくなってから一週間以上、目の前のミーアという少女が手をこまねいていた訳ではないだろう。寧ろ自力で何とか見つけ出そうと努力し、途方にくれ、一縷の望みをかけて自分を頼って来たのだろう。
「残念な知らせだが……俺はもう私立探偵は廃業した」
「はい、それは情報屋さんからも言われました、『恐らくそう言われるだろう』って。それでも貴方を頼れと言われたんです」
やっぱりか。どこの情報屋か知らないが、今度見つけたらただじゃ置かねぇとハリーは密かに決意を固めた。
「『インヴェスの野郎に渡りを付けるなら、ハリーを頼れ』って言われたんですが……あの、インヴェスさんて」
「俺の相棒だ、『元』だがな。奴はまだ探偵業をやっているし、腕も確かだ」
「ほ、本当ですかっ!?」
是非紹介してください!とミーアは前のめりになる。その目には希望がキラキラと輝いている。ハリーの元相棒であるその『インヴェス』という男、探偵としての腕は超一流と言っても過言ではないとハリーも思っている。思ってはいるのだが、ハリーはどうにも彼女に紹介するのは気が引けた。何せ、
『アイツは人間的な部分はドクズだからなぁ……』
と、元相棒だからこその評価を下していた。
「紹介してくれというなら紹介はするが……後悔しないか?」
「え?えぇ……まぁ」
「本当にか?」
「はい、大丈夫だと思います」
ハリーは一度天井を仰ぎ見ると、ハァ……と溜め息を吐いて立ち上がった。
「解った、連れてってやる。行こう」
そう言うとハリーはのそのそと歩き出した。その足取りは重く、まるで向かうのを本能的に拒否しているかのように緩慢である。そんなハリーの後を慌てて追い掛けるミーア。2人共、ミーアの注文した料理が届いていない事を失念したまま。
さて、ここでミナガルドの街の造りを軽く説
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