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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第609話】
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リのタイミングで乗り込むと後ろでドアが閉まり、新幹線は出発した。

 時を同じくして最後尾車両に飛び乗る人物が居た。


「あっぶねー、危うく乗り遅れかけたぜ、ワハハハッ」


 有坂陽人だった、今回の京都視察に同行しない筈の有坂陽人だったが、妻である真理亜を一人にして連れ去られるという可能性の考慮を忘れていた。

 職務放棄ととられても仕方ないが、だからといって真理亜を守らない訳にもいかなかった。


「さて、まあ京都までは適当に座ってるかな」


 最後尾の自由席に座り、窓から景色を楽しむのだった。

 場所は戻り、ヒルトは意気消沈したラウラを連れて席へと向かおうとしていた。

 お姫様抱っこして連れていってるのだから乗車してる人間の視線が痛い。

 皆の居る席に向かう道中で涙目のラウラがキッと目尻をつり上げた。


「ヒルト! 貴様という嫁は、貴様という嫁はっ!」


 またじたばたと暴れ始めるラウラ、危ないから降ろすと涙目で訴えかけた。


「あそこのひよこ達を私が救わなければならなかったのだぞ!? それを……!」

「ラウラ、あのひよこ買っても後から後からどんどん仕入れられるんだから意味がないんだよ」

「むうぅ……! 意味無くはないのだ! それに金ならある! 私の金で救出するのだ! いくら嫁とて……!」


 流石に車内で言い争いをしていると野次馬が何事かと見てくる。


「ラウラ、いい加減にしろ。 いくらひよこを救出しても無駄遣いにしかならないんだ」

「む、無駄ではないのだ! 少なくともあそこにいるひよこは救われる筈だ!」

「……ならラウラは無駄遣いするのか? いくら自分の金だからって無駄遣いする子は俺は嫌いだ」

「……!?」


 嫌いという言葉に、じわりと瞳に涙を浮かべるラウラ――少し落ち着かせるために俺はラウラと同じ目線になるように屈み、優しく頭を撫でる。


「確かにあそこでラウラが救出したら助かるかもしれないけどさ、俺達は京都に行かないといけない。 荷物を増やせば手間も増えれば他にも迷惑をかけるし、ラウラが無駄遣いすれば後であれが欲しいって時にお金がなかったらどうする?」

「…………」


 子供をあやすように言う俺――優しく撫でつつ、言葉を続ける。


「お金がいくらでもあるからって使えばなくなるんだ。 無駄遣いするならラウラの将来の為にとっておく方がいいさ、これがな」


 俺の言葉を聞き、暫く沈黙した後に頷く。


「そうだな。 ……我が嫁との将来の為に。 ……うむ、結婚資金に回せばいいのだな!」


 何故結婚資金という突拍子もない事になったかわからないが、とりあえず納得したらしく
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