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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六十話 ニーズホッグ、又の名を嘲笑する虐殺者
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た。連絡をくれと伝言が入っている。通信を入れると直ぐにスクリーンにリューネブルクが映った。
「リューネブルク少将、ミューゼルだ」
『ああ、忙しい所を済まんな。訓練は順調か?』
「順調とは言い難い、何より兵の士気が下がっている。それが問題だ」
俺の言葉にリューネブルクが渋い表情で頷いた。おそらく彼の率いる装甲擲弾兵第二十一師団でも同じ悩みが発生しているのかもしれない。
『グリューネワルト伯爵夫人だが、先程宮中から退出した』
「色々と御手数をかけた。感謝する」
ようやく長年の願いが叶った。これからは姉上には苦労はさせない。オーディンに戻ったら姉上と色々話さなければ……。キルヒアイスの事、フリードリヒ四世の事……。鼻の奥に痛みが走った。
『気にするな、俺は大した事はしていない。ヴェストパーレ男爵夫人が随分と骨を折ってくれた。後で夫人に礼を言うのだな』
「そうしよう、それで姉上は何処に」
『とりあえず男爵夫人の屋敷にいる。卿の姉上は静かな所で暮らしたいと言っているが今は時期が良くない、危険だ。しばらくは男爵夫人の所に居るのが良いだろう。夫人もその方が良いと言っている』
「分かった。宜しくお願いする」
スクリーンのリューネブルクが笑いかけてきた。
『運が良かったな、ミューゼル中将』
「ああ、陛下が姉上の所で倒れたらどうなっていたか……」
『それだけではないさ』
「?」
リューネブルクはもう笑っていない。妙に深刻な表情をしている。
『卿が中将で良かったと言っているのだ。これが大将や上級大将であってみろ、間違いなく卿は粛清されていただろう』
「……どういう事だ、それは」
『貴族どもはかなり神経質になっている。元々卿に対して良い感情は持っていなかったがヴァレンシュタインの所為でそれに拍車がかかった』
「と言うと」
リューネブルクは渋い表情をしている。貴族達は何に反応した? ヴァレンシュタインの所為とは一体……。
『“卿が帝国を変えたがっている”、その言葉に反応した。国を変えるとは何か? 謀反を起こすのではないか、とな』
「……」
言葉が出なかった。危険だ、これまで俺の思いはキルヒアイスしか知る者は居なかった。だがそれをヴァレンシュタインが白日の下にさらした。そしてオーディンでは貴族達が反応している……。
『オフレッサー元帥がそれを抑えた、これはヴァレンシュタインの謀略だと言ってな。奴はミューゼル中将を天才だと評している。自らの手ではなく、帝国の手でミューゼル中将を斃そうとしている。その手に乗ってはならない……』
リューネブルクを見た、それに応えてリューネブルクが頷く。
『今回の出兵も貴族達が絡んでいる』
「どういう事だ、それは」
リューネブルクが溜息を一つ吐いた。
『当初軍
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