ターン74 鉄砲水と冥界の札師
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の隙間を通ってやって来た。
KYOUTOUウォーターフロント(2)→(0)
ラディアントークン 攻2800
「倒しきれなかったのは惜しいけど……ターンエンド」
今のターンは確かにミスターTの場をがら空きにしたうえでダイレクトアタックも決められたけど、そのためにこちらが支払うことになった代償もかなり大きい。ライフは一気に3ケタにまで減り、手札にもう壊獣のカードはない。
でも、そのことに後悔はしていない。認めたくはないがさっきまでのターンまで、流れは確実に僕ではなくミスターTの側に来ていた。それをこちらに引き寄せるためには、それ相応の代償を支払わなければならない。
『それに不完全とはいえ相手がメタを張り始めた以上、長丁場の戦いはリスクが大きい。短期決戦を狙うこと自体はそう悪い話ではないな』
「不完全……やっぱそう思う?」
それについては僕も気になっていたところだが、チャクチャルさんも同感だったらしい。頭の中で、重々しく頷く気配がした。
『ああ。どうせ対策するなら壊獣にも何らかの手を打てばいいのに、先ほどから見ている限りあれではまるで対グレイドルだけを想定したデッキだ。奴が異世界での出来事を知るすべがないはずはない、まるでわざと不完全なデッキを組んで挑んできたかのようにすら見える……だが、今はとにかくこのミスターTを倒しておこう。どうせ一時しのぎにしかならないだろうが、放っておくわけにもいかないからな』
チャクチャルさんの言葉にも一理ある。何がしたいのか今一つはっきりしない不完全なメタ、意味深な発言、どうにもイライラすることばかりだけど、とにかくこの場を……と、そこまで考えたところでふとあることに気づき苦笑した。とりあえずこの場を、なんて、これじゃあついさっきこのデュエル前にミスターTが僕の心をへし折りに来たとき誘導した思考そのものじゃないか。
とにかく、気をしっかり持つことだ。あまり疑心暗鬼になりすぎるとかえって周りの物が見えなくなることは、これまでの3年間で嫌というほど痛い思いをして学んできた。
ミスターT LP1200 手札:2
モンスター:なし
魔法・罠:なし
清明 LP700 手札:1
モンスター:多次元壊獣ラディアン(アリゲーター・攻)
ラディアントークン(攻)
魔法・罠:グレイドル・アリゲーター(ラディアン)
場:KYOUTOUウォーターフロント(0)
「私のターン、ドロー……」
「?」
気のせいか、今ミスターTがカードを引いた瞬間、それを見もせずに何か別の場所に気を取られたような気がした。サングラスの奥の視線は僕の方を向いているが、恐らく僕のことを見ているわけではない。
となると、その後ろだろうか。罠の可能性も考えながらもついつい
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