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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン74 鉄砲水と冥界の札師
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、ミスターTは微動だにしなかった。そして、そのまま腕が振り下ろされてもなお、ミスターTは何もアクションを起こさなかった。

 多次元壊獣ラディアン 攻2800→ミスターT(直接攻撃)
 ミスターT LP1200→0





 勝った。でも、まるで勝った気がしない。何を考えているにせよ、闇のデュエルで倒れたのだからそのまま消えるはずだ。だがそんな常識すら通用しないのか、何事もなかったかのようにミスターTは立ち上がった。あの覇王ですら全力で抗うのがやっとだった闇のデュエルの決まりをいとも簡単に無視してのけるあたり、その底しれない力の一端を感じさせる。

「おめでとう、今回は君の勝ちだ。今日のところはここまででいいが、また会いにくるよ。その時まで、せいぜい楽しんでおくといい」

 そしてその言葉だけを残し、出てきたときと同じように唐突に消え去った。

『待……いや、逃げられたか』

 一体、何を考えていたのだろう。あの最後のターン、もう少し何かやろうと思えば十中八九できたはずだ。にもかかわらず何もしなかった……まるで、勝負を途中で投げ出したかのように。だとすれば、そんなことをする理由とは何だろう。
 情報が少なすぎて、何も思いつかない。こんがらがってきた頭をふるふると振ったところに、聞きなれた声が飛び込んできた。

「あ、清明だ。どうしたの?って」
「夢想!……い、いや、大したことじゃないよ。うん、ちょっとね。それよりそっちこそ、どうしたのさこんなとこで」

 こちらの質問には答えず、代わりに向けられた探るような視線に気づかないふりをして耐える。
 覇王の世界に行ってる間に彼女がどんなことになっていたのかはあれから葵ちゃんにたっぷり聞かされたし、そうでなくとも僕が帰ってきてすぐの憔悴しきった彼女の顔を見れば、どうなっていたのかは容易に想像がつく。もう彼女には一生分の心配をかけたんだ、さらにミスターTの話なんてできるわけがない。
 まだ納得はしていないようだったが、結局この場での追及は諦めてくれたらしい。最後にもう一度じっとりとした視線を向け、話を切り替えた。

「清明も、変なカードを集めてた話は聞いてたんだよね?だって。それで集めたカードを置いておいたんだけど、目を離したすきに誰かが全部燃やしちゃったみたいで……今万丈目君たちが犯人捜ししてるんだ、ってさ」
「燃やした!?カードを!?と、とにかくそこまで案内して!」

 既に燃えカスになってしまったのなら行ったところで何ができるわけでもないが、それでもじっとしていられなかった。それにしても、万丈目が犯人探しをしているということは、少なくとも今は何事もなかったわけか。元来た道を先に立って走り出す夢想の後姿に、結果は見えているとはいえふと気になって先ほどの疑
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