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強欲探偵インヴェスの事件簿
プロローグ
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している。盗賊の首領、と言われて疑う人が何人いるだろうか?という位には厳つい見た目をしている。

「それで?何か食ってくんだろ?」

「今日のオススメは?」

「そうだな……草食竜のステーキでどうだ?」

「んじゃあそれと、ジャリライス大盛り。それとエールね」

「おいおい、そんな駆け出しのヒヨッコが食うようなモン頼まなくても良いだろうが。儲けてんだろ?」

「いいだろ別に、好きなんだから」

 少しブスッとしながら、注文を待つ為に席を探す。カウンターは元より、円形のテーブルに酒樽を利用した椅子が4つずつ置かれたテーブル席もほぼ満杯。辛うじて埃を被ってそうな隅の席が空いているのを確認し、ドカリと少し乱暴に座る。汚れているのではないかと疑っていたがそんな事はなく、テーブルも椅子も綺麗に磨かれている。あのマスターは顔に似合わずマメで綺麗好きなのだ。

「お待たせしました〜!草食竜のステーキと、ジャリライス大盛り。それとエールです……そしてお帰りなさい、ハリーさん!」

「あぁ、ただいまパティ」

 ハリーが注文した料理を届けに来た給仕のパティに、ハリーは笑みを返した。ギルド職員の制服と良く似たデザインの制服を着こなし、元気いっぱいにちょこちょこ動くパティも、隠れた人気を誇る。大人の魅力に溢れるベッツィーに対して、元気一杯の娘を見ているような、ほっこりとした気分にさせられるのだ。年の頃は14、5と若い為にあんまりスケベな視線を送っているとロリコン扱いされて変態野郎だと噂される為、控えている物が多いが、そんなの知るかとばかりにセクハラを働こうとする剛の者もいるが。

「きゃあ!何するんですかっ!」

 そして今も、パティの尻を撫でようとした冒険者の一人がパティの持っていた金属製のトレーで手痛い反撃を受け、周りにいたハンターに袋叩きにされている。さながら、

『ウチの娘に何しとんじゃゴルァ!』

 という声が聞こえてきそうである。どの世界でもYESロリータ、NOタッチは不変の合言葉のようである。そんな騒がしい様子を眺めながら、ハリーは食事と向き合った。

 熱い鉄板の上でジュウジュウと音を立てているステーキ。これは草食竜の肉であり、この辺りではポピュラーな肉である。牛や豚、鶏、羊、ヤギ等の家畜もいることはいるのだが、如何せんモンスターに襲われる被害が多いので高級品なのである。ならばと、ハンターが多い街などでは常時貼り出される依頼として、肉食竜を討伐・解体してその肉を納品するという依頼がある。草食竜は大人しく、初心者向けの相手でもあり、解体の技術を学ぶにはうってつけ。金を稼いでいい装備を手に入れたい新人等は毎日のようにこの依頼を受ける。草食竜は繁殖力が高いため、ちょっとやそっと狩りすぎた位では絶滅したりしない。
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