暁 〜小説投稿サイト〜
強欲探偵インヴェスの事件簿
プロローグ
[2/6]

[1] [9] 最後 最初 [2]次話
そうだが、人懐っこい笑みを浮かべている彼女にはその気配が微塵もない。毛先がクリンと丸まった亜麻色の髪が彼女なりのチャームポイントらしい。ボディラインも出る所は出て、引き締まっている所は引き締まっている。出ている所は丸みを帯びて、実に女性らしいシルエットを見せる。特に胸は少し動く度にユサリと動く程に大きく、ウェイトレスの制服かと見間違えそうなデザインのギルドの制服をはち切れんばかりに虐めている。当然ながらこのギルドの看板娘よろしく、粗暴な野郎の集まりであるハンター達からは絶大な人気を誇る。

「まぁ、指名依頼は急ぎだったんでな。転移陣を使わせてもらった……交通費は依頼者側持ちだったし」

 危険なモンスターが跳梁跋扈する世界で、人間が対抗する為に生まれたのが『魔法』である。自然界に溢れる『マナ』と呼ばれるエネルギーと、自分の体内にある『オーラ』を反応させ、自然現象等を引き起こす奇跡の力である。魔法を専門職とする『魔導師』だけでなく、簡単な魔法であれば一般人でも使える程度には普及している。そんな魔法社会において、長距離を一瞬で移動してしまうのが転移魔法である。

 大規模な魔法的装置を用いて、大都市間を繋いでいるこの交通網は、現代の感覚で言えば新幹線が近いだろうか?一瞬で目的地に着いてしまうので、情緒も何も無いのだが。しかも転移魔法の利用には高額な利用料が掛かる。人間同士の争い……戦争に容易く利用できてしまうからだ。敵地のど真ん中にいきなり大軍団を送り込む事すら可能にするこの魔法的装置は、各国によって厳しくその利用を制限されている。一般人でも利用できなくはないが、その分高額な利用料を設定して使用する人を制限しているのだ。

「依頼はすぐに終わったんだがな……帰りはゆっくりと歩き旅さ。ついでに地方の寒村回って、塩漬けになってる依頼を片付けながらな」

 何度も言うが、このイシュタルという世界はモンスターの溢れる世界である。そんなモンスターを狩って貴重な素材を集めたり、地域の安全を確保するのが冒険者の役割だ。当然ながらその冒険者を纏めるギルドは、規模の大小はあれどもどの市町村にも存在する。しかしながらその規模の大小がネックであり、ギルドが頭を悩ませている問題でもある。

 冒険者とて人であり、生活が掛かっている仕事なのだ。当然ながらいい暮らしがしたいと思えばその足は自然と大都市に向かう。都市が大きければギルドの規模も大きく、舞い込む依頼も多種多様。稼ぎ口が多いのだ。中には、故郷に愛着を持って村に居着きの冒険者として定住する者も居るが、絶対的に数が足りていない。その上、居着きの冒険者の手に余るような依頼や、見返りとなる報酬が少なすぎる依頼は無視される傾向が強い。冒険者とて仕事なのだ、名誉よりも実益を優先するのが大多数。死んだら元も子もないのだ…
[1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ