第3話 改訂版(2019/04/30)
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。お兄様の言い分ではそういうことになるのです」
「だ、だが、そいつはあの魔人と同じ仮面を―――」
「この方と魔人ゲルミュッドの仮面は形状も含めて全くの別物です。魔人ゲルミュッドの仮面は鷲鼻の付いた布製のただの仮面でした。対してこの方の仮面は抗魔の力が付与された魔鋼製です。
それに私は輪廻転生写輪眼で豚頭族を引き連れて来たと思しき魔人を確認しましたが、その者がしていた仮面は怒った道化師を模した物であった上、抗魔の力は付与されておりませんでした」
おいおい。妹に言い負かされてるぞ、お兄さん。朱菜が逆論破されるのも困るが、このまま兄貴としての威厳も見せずに終了されるのも何か悲しい。
俺がそんなことを考えていると、今度は赤髪中年が地面から頭を引っこ抜いて立ち上がり、口を開いた。
「……その者が里を襲った魔人と無関係というのは本当か、朱菜?」
「親父!」
「……お父様。私達の会話を聞いておられたのですか?」
「ああ、息子が起き上がった時には意識を取り戻していたのだが、地面に叩き付けられた衝撃で体が中々動かせずにいた。私も歳だということだ。そんなことより―――」
「この方が魔人ゲルミュッド及び豚頭族を引き連れた魔人と無関係なのは事実です。まだ疑っておられるなら、自分の眼でこの方の持っている仮面を確認されれば宜しいかと」
「ふむ。では、仮面を改める前に1つ問わせて貰おう。お前は何者なのだ?多種多様な魔物の技能を体得している種族など聞いたことが無い」
警戒しつつも先程までの敵意を向けずにそう尋ねてくる赤髪中年。それに対して俺は包み隠すことなく真実のみを口にする。
「俺はスライムだよ。まぁ、ただのスライムじゃなくて、この姫さんと同じ名有りのスライムだけどな。ちなみに名前はリムルだ」
「俺達を馬鹿にしているのか?貴様がスライムなどと信じられる訳―――」
俺が正直に答えたにも拘らず、赤髪青年が信じようとしなかったので、俺は嵐牙狼族のランガに乗ると人間の擬態を解き、通常形態であるスライムへと戻った。
「ま、真にスライムなのだな」
「この状況で自分の種族を偽って何の利点がある?あと、俺の持ってる仮面はある女性の形見で、手元に戻って来たのも今朝方だ」
ある意味予想通りだけど、この場にいた殆どの大鬼族が俺の基本形態を見て驚いている。赤髪青年など顎が外れんばかり口を開き、呆ける始末だ。
そんな中、1人だけ俺の基本形態を見て驚いていない者がいた。それは俺と大鬼族達の中間地点に立っている朱菜だ。どうやら彼女は普通の大鬼族ではない様だ。
……取り敢えず、身の潔白を証明す
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