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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第599話】
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ふふ、偉い偉い。 もし不安だったら暫くお姉さんとお話しましょうか? 予定時間では後一時間ほどって所だし』


 一時間――それは長旅だ、不安な気持ちを押し殺し、俺は刀奈と会話を選んだ。


『刀奈の家って、どんな所ですか?』

『え? ……んと、昔ながらの日本屋敷よ? つい先日もテレビに取り上げられたばかりかしら? ほら、『今日の豪邸』って特集』


 そういえば――夕方辺りにそんな特集をしてるニュース番組があった気がした。


『……テレビに取り上げられるぐらい有名なんですか? はは……ちょっと萎縮しそうっす』

『あら、大きいだけの屋敷よ。 良かったら一度遊びに来なさい、歓迎するわよ』

『そうですね、近い内にお願いします』

『ええ、勿論よ』


 そんな約束を取り付けた俺――一方の刀奈はテンパっていた。

 何しろ好きな男を家に呼んだのだ、キスは済ませてあるのだからもしかしたらもしかするとそれ以上の事をするかもしれない。

 ブクブクと泡が漏れる刀奈――それを見ていた俺は首を傾げる。

 深度約二〇メートル――臨海公園から約二八キロ辺りの地点。

 他愛ない会話を続けながら秘匿空母に向かう俺と刀奈――二九キロ地点に達した辺りで刀奈は告げた。


『ヒルトくん、そろそろ小型潜水器の燃料は無くなるわ』

『え? ……帰りはどうするんですか?』

『帰りは空母から小型潜水器を貰うわ。 泳いで帰りたくないし、IS展開したら日本、アメリカのISに囲まれちゃうもの』

『うげ……じゃあ何にしても、空母に潜入したら探さないとダメですね』

『ええ』


 そうこうしてると小型潜水器のスクリューが止まる――元々使い捨てだから気にしなくていいとは言われたが……既に小型潜水器から離脱した刀奈を追い、俺も小型潜水器を捨てて海面へと泳いでいく。

 ウェットスーツを着た刀奈を見失わない様に着いていき――海面から上がると少し離れた場所に空母が停泊していた。


「さあヒルトくん、彼処までは泳いでいくわよ」

「了解っす。 てか潜水して行きましょう。 ……波が――わぷっ」


 若干波が高く、下手したら辿り着けない気がした。

 刀奈は同意するとシュノーケルを咥わえ、潜った。

 俺も同様に潜る――海上は波が高いが、やはり海中は影響がなかった。

 暫くすると錨が見えてくる――錨付近で海面へと出ると、残り少ない酸素ボンベを捨てて俺と刀奈は空母へよじ登っていくのだった。

 その少し前、空母に着艦する一機の機影――鮮やかな着地と共に周囲を確認していた。


『あれ? 出迎え無しかよ……。 おーい、誰か居ないのかー』


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