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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十七話 第七次イゼルローン要塞攻防戦(その7) 
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ワイドボーンもうんざりしたような表情をしていた。俺もうんざりだ、あとどれだけこんな思いをするのか……。

捕虜が少ない事で喜ぶのはレベロだけだろう、捕虜なんか食わせるのに金がかかるだけだ、殺した方が経費削減になる。銭勘定に執着が過ぎると血も涙もなくなる。嫌な話だ……。

第四、第六艦隊は十分以上に働いてくれた。モートン、カールセンの二人は信頼できる。これで使えるのは第四、第五、第六、第十、第十二の五個艦隊か……。第一は引き締めが必要だ。クブルスリーの能力以前に艦隊の練度が低すぎる、話にならない。

まあ原作でもそんな傾向は有った。ランテマリオ星域の会戦では同盟軍は帝国軍相手に暴走しまくった。あの時の同盟軍は第一、第十四、第十五艦隊だった。あれは同盟の命運を決める一戦に興奮したわけではなかった。練度不足、実戦不足がもろに出たわけだ。

第一艦隊の練度を上げれば使える艦隊は六個艦隊だが、それでも宇宙艦隊の全戦力の半分だ、残り半分は当てにならないって一体この国はどうなってるんだ。早急に残り半分もどうにかしなくてはならんが誰を後任に持ってくるか……。一人はヤンとして他をどうする? どう考えても艦隊司令官が足りない。

これから見つけていくしかないな、多少強引でも引き立てて艦隊司令官にする。候補者はコクラン、デュドネイ、ブレツェリ、ビューフォート、デッシュ、アッテンボロー、ラップ……。そんなところかな。能力を確認しつつ昇進させていく、時間はかかるかもしれんがやらないとな。戦争は何年続くか分からん。人材の確保も戦争の行方を左右する大きな要因だ、手を抜くことはできん。

「敵艦隊を確認しました! 兵力、約三万隻!」
オペレータが緊張を帯びた声で報告してきた。どうやらラインハルト登場か。艦橋にも緊張した空気が流れる。

「全艦に戦闘準備を、但し別命あるまでその場にて待機」
シトレの低い声が艦橋に響く。オペレータが各艦隊に命令を出し始めた。おそらく各艦隊司令官も期待に胸を躍らせているだろう。勝ち戦ほど士気を高める物は無い。

ラインハルトの艦隊は近づいてこない。本当なら要塞主砲の射程内に入りたいだろうが近づいてこない。こちらと戦う事になるのを恐れている。やはりこちらの狙いが要塞ではなく艦隊決戦による殲滅戦だという事を理解しているようだ。先ずこれでは戦闘にはならないだろう。

シトレに視線を向けた、向こうも俺を見ている。そして軽く頷いた、俺もそれに頷き返す。
「オペレータ、敵艦隊に通信を。ミューゼル中将に私が話をしたいと言っていると伝えてください」

俺の言葉にオペレータが困ったような表情をしている。そしてチラっとシトレを見た。確かに指揮官の許可なしに敵との通信などは出来んな、俺とシトレの間では話はついているんだが、こいつがそれを知
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