黒衣を狙いし紅の剣製 07
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クロを……子供をこんなことに使って良心が痛んだりしないのかあんたは」
『良心? フハハハハハ! 何故私がそんなものを痛めたりしなければならない。そこに居るのは私の子供ではない。人の形をした私の人形だよ!』
グリードの言葉にクロの表情が一瞬曇った。
人形……その言葉と今の言い回しから察するに俺の予想はほぼ間違いなく当たっているだろう。
「グリード……お前まさか」
『そのまさかさ! 貴様の目の前に居るのは、名も無き英雄の遺伝子で作ったクローン。人の贋作だ!』
「贋作……だと?」
『そうだろう? 人と同じ成りはしているがソレは人工的に生み出した生命だ。母親から生まれてきた生命ではない。それを贋作と言わずに何と言うのかね? まさか君は……ソレを人だとでも言いたいのか?』
過去に自分の愛した娘を生き返られるためにクローンを生み出した人を俺は知っている。
だが結果としてそのクローンは愛娘とは見た目は同じでも別人であり、そのことに絶望したその人は別の方法を探すためにクローンの少女を酷使した。
けど、この男は……あの人より……プレシアよりも格段に劣るクズだ。
プレシアがフェイトにしたことは許されるものではないだろう。だが……あの人はフェイトを道具と言いながらも根っこではアリシアとは別の生命、もうひとりの娘だと思っていた。
だがアリシアに固執してしまったが故に、それに気づいたのは虚無の奈落に消えて行く間際。それを知るのはプレシアを助けることが出来なかった俺だけ……。
『ハハハハハ! さすがは戦闘の道具であるデバイスに人間らしさなどという余計なものを求める愚か者だ。贋作であろうと人として扱うか。いやはや、全くもって理解できないね』
「理解できないのはそっちの言い分だ」
『ずいぶんとイラついているようだ。それに私の言い分が理解できない? ならもっとソレについて教えてあげよう。何故私がソレの名前にFを付けたか分かるかね?』
「そんな意味のない問いに興味はない」
『聞けよ小僧! 勝手に意味がないなどと決めつけるな。意味のないことを私がするとでも思っているのか? ソレにFを付けたのは用いた技術のプロジェクト名からというのもあるが、本質はフェイク! 偽物という意味を込めたかったからさ!』
この男は……人として狂ってる。
何がこいつをここまで駆り立てるのか分からない。いや理解したくもない。今こいつにあるのは人として最も醜い感情だけだ。ある意味ではあの事件を起こしたクズな天才にも劣る。
何より……この男とは話すだけ無駄だ。話したところで不愉快な感情を抱くだけ。俺が真に話すべきは……
『おい、何をよそ見している? この私が話しているのだぞ。人が話している時は目を見て話せと教わらなかっ……!』
「黙れ」
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