第二十二話
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しんどそうだ。育ててきた艦娘を他のところに強制的に連れてかれてる訳だし。
「まぁ、いいぜ。条件付きだけどな。」
「…………なんですか?」
俺は半分諦めたようにそう呟いた。
「簡単な話だ。一週間以内にアタシに魚雷訓練での成績で勝てばいい。」
「…………へ?」
俺は完全に予想してなかった条件を提示されて、変な声を出した。
「あぁ、当然春雨もな。」
「え?」
春雨も似たような声を出す。
「それくらいできねぇような奴に、仲間の情報を簡単に教える訳には行かねぇなぁ。」
摩耶さんは、完全に楽しんでいるようだ。なかやか性格の悪そうな笑顔をしている。
「ま、いらねぇっつーんなら話は別だがな。」
「うっ…………。」
確かに、木曾の情報がいらないってんなら、この条件を受ける必要性は全く無い。無いんだが…………。
「分かりましたよ!その条件、受けてやろうじゃあ無いですか!」
俺は啖呵を切った。
「そうか。そんじゃ、これから一週間、いつでも受け付けてやるからよ。精々頑張ってみな。」
最後に摩耶さんはニヤリと笑ってから、いつの間にやら空になっていたざる蕎麦のお盆を持って立ち上がった。
俺は摩耶さんが居なくなった後、机に突っ伏した。
「に、二号さん………大丈夫なんですか?」
春雨が心配そうに聞いてきた。
「…………正直、自分でもかなりヤバイと思ってる。」
俺は机に突っ伏したまま答えた。正直、涙が出そうだ。
この敗北感。
見事に摩耶さんに乗せられた。
「確か………二号さんの魚雷の成績って…………。」
「……………おう、エグいぞ?」
この鎮守府では、週に一回、軽巡洋艦には近接戦、砲撃、雷撃のテストみたいな物がある。俺は砲撃は中の中、近接戦は中の上ぐらいなんだが………。
「雷撃の成績は、全艦娘の中でも恐らく最下位だろうな。」
そう、俺はだいたい一〜二メートル位の距離までじゃないと魚雷を当てれない。
提督に言わせると、「なんで砲撃がそこそこで雷撃ができないの?」とのこと。そこまで簡単なのかよ、雷撃って。
余談だが、木曾はオール一位だ。砲撃は金剛さんより正確で、雷撃は北上より精密、近接戦は、あの長門さんと互角以上に戦うときた。もうあいつ一人でいい気がしてきた。まぁ、流石にそれをしたら轟沈しそうだけど。
「………春雨は?」
「全部真ん中位です………。」
「「……………………………。」」
絶望感しかねぇ。
なんてったって、相手はあの摩耶さんだ。
「わが鎮守府最強の重巡洋艦相手だぜ………?」
もう一
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