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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第九十二話 各々「天王山」奪取に向けて準備します。
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しようとするのであれば、私は躊躇なく動くこととなる。ローエングラムの孺子にはそう伝えておけ。」
ミュッケンベルガー主席元帥がそう言った時、ドアがノックされたので、幸いケスラーはこれに対する返答をせずにすんだ。幸い、と言ったのはこの明白な立場の宣言にどう回答してよいか、考慮するのに数秒の時を要したからである。
「入れ。」
入ってきたのは幕僚の一人だった。
「軍務尚書からの御伝言です。内容は――。」
「わかっておる。一刻も早く軍務省に来いというのであろう。」
「はっ。さようであります。」
「下がってよい。返答は私自身が行うと伝えよ。」
よほど軍務尚書から念を押されているのだろう、なおも幕僚が退出せず何かを言い出しかねていると、ミュッケンベルガー主席元帥は横柄な身振りで、下がるように指示した。幕僚は一抹の不安を浮かべながら敬礼し、退出した。
「私の権限で統御できるのはあくまで艦隊とその司令部のみであって、軍務省及び軍政各部署には宇宙艦隊司令長官の指令は届かぬ。卿等には既に承知していることだとは思うが、念のために申し伝えておく。」
「承知しております。閣下におかれましてはご自身の直卒艦隊及び麾下司令部に対して令を発していただければ十分でございます。ですが、お一人だけ閣下のお言葉に少なからず耳を傾ける人物がおりましょう。」
む?とミュッケンベルガー主席元帥は眉を眉間によせたが、
「なるほど、あの御仁がおったか。暗愚な人物ではないが、私の忠告を聞くとも思えぬ。」
「閣下御自らがわざわざ出向かれる必要はございますまい。いずれ先方が閣下に使者を遣わすこととなりましょう。」
会見は短かった。ケスラーは早々にミュッケンベルガー主席元帥のもとを辞去した。そこから先はミュッケンベルガー主席元帥と当人次第である。口には出さなかったがケスラーはそう思っていた。ミュッケンベルガー主席元帥が敵側に加担しないことを明言した、そのことで今回の訪問の目的は達成されたのである。
彼は邸を辞去し、地上車に乗る前に虚空を見上げた。青い空には恒星ソールの眩い光が輝いている。いずれあの恒星の光を消す勢いで無数の艦艇がやってくるだろう。ローエングラム元帥麾下の艦隊が。だが、おそらくこの空を見ているであろう人々のうちいったい幾人がそのような事を予測できるというのだろうか。
 いや、とケスラーは思う。ローエングラム陣営に属しているからこそ、時代の改革者の一員として時勢を動かす立場にあるのだ。大半の帝国人民は受身一方、物事を動かすことそれ自体を想像すらできないに違いない。彼らにとって重要なのは官憲ににらまれないように保身をすることなのだから。誰がそれを責めることなどできよう。それができるのは物事を超越してみることのできる大神オーディンだけではないだろうか。そしてそれは他ならぬ自分た
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