プロローグ
[4/4]
[9]前 最初 [1]後書き
そう言って簪が差し出した本は、此処ではありえない書きさしの本であり、書かれているのはオレが神器に覚醒し妹の命を吸い上げる直前までだ。
「苦労したけど、なんとか出来たよ。私達が直接この世界に入って観察することによって初めて世界が確定する。書き換えること無く、新たに書き連ねるだけの世界」
「どうしてこんなことを?」
「昔から隠し事が下手なんですよ。毎回此処に戻る度に始まりの世界の棚を気にかけて、こっそり探していたことぐらいお見通しです。だから、皆で内緒で用意したんです。時間はかかりましたがこうしてね」
「すまん。それから、ありがとう」
本当ならオレにだって同じことが出来た。だが、どうしても踏ん切りがつかずに、何処か別の世界にいないかと探し続けていた。簪達のお陰でようやく決心がつき、こうしてこの世界のオレである元士郎と妹の瑞穂を養子として引き取った。あの男女は塀の向こうで、懲役はオレの時よりは少ないが、男の方は薬もやっていたし、女の方は態度も悪くて中々出てこられないだろうよ。
この世界のオレは、瑞穂は、娘達は、どんな人生を送るのか。それを見させてくれ。これはオレ達の夢なのだから。見せてくれ、可能性の物語を。
[9]前 最初 [1]後書き
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ