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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十六話 第七次イゼルローン要塞攻防戦(その6) 
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・グリーンヒル



「随分と厳しい事を言っていたな」
「そうでしょうか、拙かったと思われますか」
「……まあ多少は良いだろう。少しは作戦参謀として働いてもらわないと」
シトレ元帥とワイドボーン准将が話している。ヤン准将は艦橋を出て行った。多分、ヴァレンシュタイン准将の所に謝罪に行っているのだろう。上手く出来れば良いのだけれど……。

ワイドボーン准将が溜息を一つ吐いた。
「歯痒いんですよ、ヴァレンシュタインが本当に頼りにしたいと思っているのは私じゃ有りません、ヤンなんです、それだけの実力もある。それなのに……、あれではヴァレンシュタインが可哀想ですよ」

「面白くないかね、何故自分を頼ってくれないかと」
「まあ、多少はそういうところも有ります」
「八つ当たりはいかんな」
シトレ元帥が苦笑交じりにワイドボーン准将を窘めた。ワイドボーン准将も苦笑している。

「そうですね、後で謝ります」
「勝ち戦と言うのも困ったものだな。余裕が有りすぎて参謀達が戦争よりも内輪もめに夢中になる」
「内輪もめですか、確かに困ったものですがヴァレンシュタインが一緒だと負ける気がしません。余裕も出ますよ」

ワイドボーン准将がおどけたように言うとシトレ元帥が大きな笑い声を上げた。
「まあ確かに負ける気がせんな」
ワイドボーン准将も笑う。二人とも戦争をしているとは思えないほど表情が寛いでいる、それほど同盟軍は優勢だ。

「ヤン准将の事だが心配はいらない。いずれ彼には十二分に働いてもらう、今はその前の準備期間中といったところだ」
元帥の言葉にワイドボーン准将が“ほう”といったような表情をした。

「何かお考えが有るのですね」
ワイドボーン准将の問いかけにシトレ元帥が頷いた、元帥は悪戯っぽい笑みを見せている。
「この戦いが終わってからの事だがね、楽しみにして欲しいな」
「なるほど、それは楽しみですね。ではこの戦いはさっさと終わらせないと」
「そうだな」

シトレ元帥はヤン准将を切り捨てるつもりは無いようだ。それどころかこれからもっと准将を活用しようとしている。ほっとした、准将が不当に扱われることは無い。艦橋にヤン准将が戻ってきた、その後ろからヴァレンシュタイン准将とミハマ少佐が見えた。

ミハマ少佐は可笑しそうな、そしてヤン准将とヴァレンシュタイン准将は二人ともちょっと困ったような表情を浮かべている。どうやら上手く仲直りできたらしい。ミハマ少佐、有難うございます、感謝です。



帝国暦 486年 5月 9日 14:00   イゼルローン要塞  トーマ・フォン・シュトックハウゼン



『それで遠征軍、駐留艦隊の状況は如何です』
「良くないな、反乱軍は総勢で十万隻もの艦隊で味方を攻めている。おまけに遠
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