第2話 閻魔の裁量
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。何と言っても士郎が作ったんじゃからな!」
「この鮎のかば焼きなんて、黒糖焼酎が欲しくなりますよ」
「・・・・・・・・・」
帝とマープルも士郎の調理した料理に対して絶賛する中、ヒュームだけは無言だった。
別に口に合わなかった訳では無い。寧ろ、帝とマープルに同意出来る程の味だった。
ただヒュームの性格上、他者を――――しかも初対面の相手の賛辞を口にするなど、したこともない上、する気も無いからだ。
(高級食材を使わずこれほどの味を仕上げるか。確かに噂に勝るとも劣らぬ腕ではあるようだな)
だから心の中だけで思うだけ。
そんな緊張が緩みまくった空間――――ちょっとした宴の席で、帝が気にしていた事を聞く。
「つか、そこの絶世の美女は誰なんだ?まさかとは思うが、爺さんの愛人か?」
「ほぉ?面白い事を言う小僧だ」
帝の揶揄うような言葉に対して返答したのは雷画では無くスカサハだった。
口元は不敵に笑っているが、目は全く笑っておらず、猛禽類の如き鋭さだ。
ちょっとした冗談で言っただけの当人たる帝は、睨まれただけで心臓を鷲掴みにされたような感覚に陥る。
「グッ!?」
「儂の顔に免じて許してやってくれ。この無謀者はまだまだ世界を知らない井の中の蛙なんじゃ」
「許す?この程度で私が怒りに身を焦がしたとでも?」
「・・・・・・・・・・・・」
「その辺にしてください、師匠。折角の空気が壊れかけてます」
「士郎まで本気にしたのか?今のはちょっとした冗談のつもりだったんだがな。私としてもシャレは分かる」
スカサハの言葉に帝はほっとしたが、ある事に気付く。
「今俺の事小僧って言わなかったか?」
「ん?言ったが?小僧呼ばわりされるのは好かんのだったか」
「いや、そうじゃなくてだな・・・」
如何いう事かと、雷画に視線だけで説明を求める帝。
その雷画は従者3人に視線を向けて言外に言う。
『魔術に関わる事だが、説明していいのか?』と。
それに対して答えを返そうとした3人の前に空気を読んだ帝が、
「魔術に関する事なら説明してくれていいぜ?英雄にだけは教えたからよ」
「「「帝様!!?」」」
従者のトップ3人も知らなかった事をサラッと暴露した。
「正式に俺の跡継ぎを英雄に決めたわけじゃねぇけどよ、3人の内誰か1人くらいは言っといた方がいいんじゃねぇかと思ってよ、教えたんだ」
「勿論我もこの事は他言無用と教わったので、言いふらす気は無いぞ?」
「言い含めた事は兎も角、倅にだけ教えた本音は?」
「そりゃ、そっちの方が面し――――俺の決意よ!」
「「「・・・・・・・・・」」」
毎度のこととは言え
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