第2話 閻魔の裁量
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ら次はこうはいかぬ。笑い話のように空気は切り換えたが、次は今度こそ腕を貰うぞい」
途中からの言葉は、何時の間にかクラウディオの拘束が解かれた帝へ向けてだった。
「重々承知してるぜ」
「なら、いいがの」
2人の会話に英雄は自らの至らぬさを自覚させられた。
雷画が笑い話風に空気を切り替えた時、英雄は安心ではなく憤りが込み上げたのだ。
そんな笑い話にするほどの事なら、なぜもっと早く話を付けてくれなかったのかと。
今回の件は全面的に自分たち九鬼財閥が悪いのだとしても、そんな笑い話で片づけられる事でどれだけ父上が苦しんだと、そう考えていたのだが今思い至ったのだ。
組長殿が笑い話の様に切り替えたのは、無理矢理ついて来て、先程まで切羽詰っていた自分を安心させる為なのだと。
(姉上はカッとなりやすい自分の性分を反省していたが、我はそれ以下だな)
今のやり取りは高度な腹の探り合いと言う点では初歩の初歩だろう。
その程度の真意に気付けないとは――――と、自嘲するしかなかった。
そんな時英雄はある事に気付く。
(確か今夜の交流戦メンバーで士郎は列席されていなかった筈・・・。てっきりこの場に同席するためと思っていたが違うのか?)
そう考えていた時、雷画が自分達に尋ねる。
「主ら、飯は如何する?」
「ん?戻ればあるだろうが・・・もしかして用意してんのか?」
「うむ。そろそろ出来るはずじゃ、食う気があるなら食ってけ」
「オイオイ大丈夫か?俺達は舌が肥えてるし、味について厳しく批評させてもらうぞ?」
「厳しく?出来るならな」
余程これから出てくる料理に自信があるのか、帝の言葉に怯むどころか驚くなと言わんばかりに胸を張って言葉を返す雷画。
そこへ幾人もの女中が入り、料理を並べて行く。
最後に和服姿にたすき掛けをした、料理人服姿の士郎が入って来る。
「今夜の夕食の調理を任されました。衛宮」
「士郎!?」
「最後まで自分で名乗らせてくれよ」
士郎の登場に思わず立ち上がる英雄だが、当人は紹介を妨げられて嘆息する。
その士郎の登場と料理にクラウディオが思わず微笑む。
「御噂は聞いています。衛宮士郎様が調理される料理はどれも絶品だと」
「お褒めに与り恐縮です。私もクラウディオ・ネエロ殿のお話は英雄からかねがね」
「私の様な雑排の身をお記憶に停めて下さっていたとは、私の方こそ恐縮次第でございます。衛宮士郎様」
「いえいえ」
「なんのなんの」
そのやり取りを見ていた6人(嵐臥は料理が運ばれる前に退出した)は、折角用意された食事が進まないので、席に着いて食べ始めた。
「おっ、こりゃ旨ぇっ」
「そうじゃろそうじゃろ
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