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東方
H01ATT(Anti Tank Trooper)
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・人里からの敗残兵。妖精をみて嗜虐心。が、ATTに返り討ち。


男は逃げていた。


「くそッ、なんでこんな目に!」


先頭を走る男に続いて何人もの人間が悪態をつきながら、ただひたすら逃げていた。
男たちはつい先ほどまで、人間の里を守るために立ち上がった兵士だった。
それが今や逃亡兵だ。
ここは時代に取り残された人間と忘れ去られた妖怪の巣食う楽園 "幻想郷"。


「何が外界の連中なんて大したことないだ! とんでもねえ勘違いじゃねえか!」


ソ連が攻めてくると聞いたとき、幻想郷の人間と妖怪たちは、外界人など何するものぞと意気軒高だった。
時折幻想郷へと迷い込んでくる外来人の多くが、なすすべもなく妖怪に食われて死んでいる。
そのせいで勘違いしていた。外来人は雑魚妖怪にすら敵わない弱者の集まりだと。
そして、その勘違いの代償を支払うことになった。あまりにも高い代償を。


「あの聞いたこともないどでかい音は何なんだ! それに、あの数! 人間の里の人口より多いんじゃないか!?」


走りながら口から出るのは悪態ばかり。
幻想郷軍は人間の里前に布陣し、ソ連軍先遣部隊と睨み合った。
先に仕掛けてきたのは、ソ連軍だった。
地響きを鳴らすような音とともに数千門もの火砲が号砲をあげる。
つづいて、独特の音ーー人類連合軍はスカーレットのオルガンと呼んで恐れたーーとともに、飛来するカチューシャロケット砲。


とはいえ、これらの攻撃はすべて、妖怪の賢者、八雲紫によって防がれた。
だが、幻想郷軍、特に徴兵された人間の士気は急落していた。見たことも聞いたこともない現代戦の洗礼を受けた彼らは、強烈なショックを受けていた。
そこにウラー(万歳)と叫びながら突撃してくる10万のソ連軍。
その威容を見て男は、今更ながら幻想郷の不利を悟った。
そろり、そろりと陣を抜け出すと一目散に逃げ出したのであった。


「はあ、はあ、ここは……湖か」


息を荒げながら立ち止まると、いつの間にか湖に来ていた。
男についてきた人間たちも休息しようと集まってくる。
薄くだが霧が発生しており、視界は悪い。
と、そのときであった。
青い光がゆらゆらと揺れながら、こちらへと近づいてくるではないか。


「お、鬼火!? 妖怪か!」


お、お助けええ、と恐慌状態に陥る。
こんな場所で妖怪にかち合うなんて最悪だ。
だが、近づくにつれその姿を見て男は、思わず口角をあげた。
嗜虐的な笑みまで浮かべてしまう。なぜなら、その姿は、妖精だったからだ。
そして、真っ赤な旗を掲げている。ならば、答えは一つ、ソ連軍の妖精であり、敵だ。


妖精と
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