暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
節目の日

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業務基幹ソフトを開いた。なんとか今日中に生徒情報閲覧フォームだけでも作っておかないと……

「ねーねーせんせー」
「んー?」
「入力の仕方がわかんない」

 ……あ、そういえばExcel初体験なんだっけ。Wordとは少々勝手が違うし、そらちょっと戸惑うな。うかつだった……。川内の画面を覗き見た。一人目の名前の項目がアクティブセルになっている。

「緑の枠に囲まれてるマス目があるだろ?」
「うん」
「キーボードで文字を打ったらそこに入力されるんだ。打ってみ」
「はーい……お、入った」
「入力が終わったら、タブキーを押してみな。緑の枠が右に動く」
「ぉお。ホントだ」
「それで1マス1マス、ゆっくり打っていけ。慣れてきたら、スピードを上げるんだ」
「はーい」

 これでよし……隣の川内のキーボードから、少しずつ軽快な音が鳴り始めた。川内自身は……よし。いつもの顔で画面をジッと見つめはじめたな。作業に没頭しはじめた時の顔だ。これなら、俺はAccessに専念出来る。

 俺はそのまま、自分の画面へと視線を移した。Accessはすでに準備万端。作成中のデータベースを開き、俺は作業に入る。テーブルを開くと、中にはすでに既存のデータベースから移植したデータが表示されている。あとはこれを元にフォームを作成すればいいわけだ。よーしよーし……

「ねーせんせ?」
「んー?」
「タブキー押して右に移動してたんだけど、最後のマスのとこでもタブキー押すの?」
「エンターキー押してみ」
「はーい……おおっ。次の行の一番最初に戻った!!」
「んー」

 川内の方から再びカタカタというキーボードの音が鳴り始めた。よしよし。川内の作業は順調。俺はそのまま川内の方を確認せず、自分の作業に戻ることにする。

 Accessにはフォームを自動で作成してくれるフォームウィザードがある。既存のテーブルかクエリを選択すれば、それを元にAccessが最適なフォームをデザインしてくれるというわけだ。なら、今回はそれでフォームの大まかな形を作って、それを元にして形を仕上げていくか。

 俺は素早くフォーム作成ウィザードを立ち上げ、必要な設定を済ませていく。ところどころ意味がよくわからないが、そんなところはとりあえず適当に進めればいい。うまくいかなければ、また一から作り直せばいいわけだ。こんな時は、迷わずに進める。結果を見て、まずければ修正。その精神が大事だ。

「ねーせんせー」
「んー?」
「せんせーの家の住所も入れていい?」
「んー」
「ありがとー」

 川内の軽快なタイピングの音が鳴り響く。ウィザードで出来上がったフォームは……備考欄がない。失敗か。ならばもう一度。俺は出来上がったフォームを削除し、再度フォーム作成ウィザードを立
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