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大淀パソコンスクール
節目の日

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に繁栄させることが可能だが……。

「まぁ、出来るな」
「だったらさ。今日のうちに住所録を作って、それを来年の年賀状とか暑中お見舞いとか、夜戦お見舞いとかに使えるかなーと思って」
「一つだけ妙なものが混じってた気がするけど、確かに一回作っちゃえば来年以降使い回しが出来るから楽だな」
「うん。だから今日は住所録作ってもいいかな」

 なるほど。住所録の作成に集中してくれるのなら、俺もAccessのフォーム作成に集中できる。それに、WordじゃなくてExcelで住所録を作らせれば、川内にとってもいい気分転換になるかもしれん。そろそろWordだけじゃなくてExcelの使い方を学ぶことも視野に入れていいだろうし。

「わかった。んじゃ今日は、WordじゃなくてExcelで住所録を作るか」
「おっ。さすがせんせ! 物分りがいい!!」
「そこはフレキシブルって言わないと、ただの悪口になるから注意な? んじゃ、Excelを立ち上げてみてくれー」
「はーい」

 俺の忠告が川内の心に響いたのかどうなのかはよく分からんが……こいつはいつものようにスタートボタンを押してタイルを表示させ、WordのタイルのそばにあるExcelのタイルをクリックした。

「……なんか変な感じ」
「なんでだ?」
「いっつも青色のタイルをクリックしてるからさ。緑のタイルをクリックってのがどうにも……」
「まぁなぁ」

 ほどなくして立ち上がるExcel。川内はExcelのウィンドウを最大化し、画面いっぱいに表示させた。画面いっぱいのマス目に圧倒されたのか、急に不安げな顔でこっちを見つめはじめる川内。だから、そういう普通っぽい反応するの、やめろって……。

「せんせ〜……よく考えたら私、Excelの使い方わかんない……」
「そういや、Excelなんて全然触ったこと無いもんなお前……」
「うん……どうしよ……」

 仕方ない……今からExcelの使い方を覚えていたら出来るものもできなくなる……

「川内、ちょっと席代われ」
「うん?」
「俺が簡単にフォーマット作るから。ちょっと代われ」
「いいけど、フォーマットって?」
「大元。いいからちょっと代わってみ」

 川内が頭に大きなはてなマークを浮かべながら席を立つ。俺が川内の席に座ると、こいつは俺が座ってた席には座らず……

「お?」
「ん?」

 俺の席の背後に立ち、俺の両肩に両手を置きやがった。『座れよ』と文句を言おうとも思ったが、こいつの手の感触が、じんわりと心地よい。

「……まいっか」

 川内の笑顔に背後から見守られる中、おれはちゃっちゃとフォーマットを作成していく。名前、よみがな、郵便番号、住所、電話番号、メールアドレスの項目を作り、それぞれに入力規則を設定
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