暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
節目の日
昼2
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らしいことを行ってくる岸田さんに、俺は違和感を覚えた。どうした岸田さん。今日のあなたはやたらと素直で従順じゃないか。いつものように隙あらば毒を吐いてきてくださいよ。こっちの覚悟が無駄になるじゃないですか。こっちは毎回臨戦態勢で臨んでいるというのに。

 その後、岸田さん本人に言葉の真意を聞いてみたのだが……なんと岸田さん、ある程度Wordを習ったところで、さくっと教室をやめるつもりだったそうだ。自分が知りたいことを教われば、あとはもう教室なんて用なし。なんなら今年いっぱいでやめてしまっても構わない。そう思っていたらしいのだが……

 ここに来て、『pdfでの電子書籍の作り方』という、新たな可能性を見出したらしい。それを無駄にせず、ゆくゆくは自分のwebサイトで自分の作品の電子書籍をpdfの形で配布出来れば……そう思ったそうだ。

 電子書籍にも色々な形式はあるが、pdfの電子書籍も、決して需要がないわけではない。

 そして、それを制作するのに、お手軽度を優先するなら、Wordはそう悪くない選択肢といえるはずだ。Wordであればある程度自由に本の装丁をいじることが出来るし、なにより、使い慣れたソフトで作成することが出来るというメリットもある。

 俺は以前に電子書籍作成ソフトを使って実際に電子書籍を作成してみたことがあるが……結局意味が分からず、満足いくものは出来なかった。Wordなら、その辺が直感的にわかりやすい。いつものように文書を作成し、最後にpdfの形式で保存してしまえば、それが電子書籍となるわけだ。

 それは岸田さんも考えたらしく、そのためにも、もっとWordの機能を色々と知った方がいい……岸田さんはそう判断したそうだ。画像の挿入方法を知れば、挿絵を追加することも出来る。段組みの方法を覚えれば、1ページに、よりたくさんの文章を書き込むことも出来る。縦書きだってできるし、ページの色を黒い色に変更すれば、暗闇でも目に負担をかけることのない、読みやすい電子書籍に出来るはずだ。

「だから先生、これからもよろしく!」
「はぁ……よろしく」
「そのためにも、一度俺の話を読んでみて下さい!!」
「し、承知しました……」

 『自分の作品を電子書籍にする』というモチベーションがあるのなら、きっと長続きもするだろう。岸田さん、改めてよろしくお願いいたします。

「この作品はね! 主人公とヒロインの関係が……」
「あーはいはい……読みます。読みますからネタバレしないで……」
「ヒロインのウザかわいさに力を入れてみて……」
「それホントにカワイイんですか……?」

 小説なんて普段はほとんど読まないが……岸田さんからの感謝の印と受け取って、今回はちょっと読んでみようか。授業が終わった後、おれは岸田さん作の『殉教者の
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