暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
節目の日
昼2
[3/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ントサイズを上機嫌で変更し始めたところを見ると、この機能を気に入ってくれたようだ。大淀さんの知り合いの作家さんからのアドバイスを受けての一連の機能紹介だったわけだが、さすがは同じ創作者。創作者の気持ちがよく分かっている。オータムクラウド先生だったかな? 聞いたことあるようなないような……

 岸田さんは順調に一人遊びを始めたし、これ以上この場にいると、調子づいたこの人が、俺に対してグチをこぼしかねん。一度距離を置くべく、俺はソラール先輩と神通さんの元に行き、様子を伺うことにする。この場であれば、別にピンク色の空間を展開することもないだろう。2人の邪魔にはならないはずだ。ソラール先輩の授業も見学したいし。

 二人の画面を覗いてみる。画面に表示されているのは、『Pizza集積地 商品別売上集計表』という表だ。確か『Pizza集積地』といえば、昨年に近所にできたピザ屋さんのはずだ。その店名を勝手に使って、架空の売上集計表を作ったらしい。いいのかな……そんなことして……。

「……さて神通。ここで前年比の項目を見てみよう」
「はいっ」
「前年比の項目には、値がプラスのセルとマイナスのセルがある」
「ですね。電さんのスペシャルメニューは売上一位である上、前年比も伸びています。今年は大躍進を遂げたメニューなのでしょう」
「ああ。逆に集積地殿の『燃料・弾薬・鋼材・ボーキの集積地』は売上の絶対数も芳しくない上、単価も安く、その上前年比もマイナスだ。これはメニューを考案した集積地殿本人には見せられん」
「ですね。泣いてしまいます」
「ああ。太陽の戦士として、これは秘匿しておく情報だと判断する」
「二水戦旗艦としても、それは正しい判断であると思います」

 ……あなたたち、条件付き書式の話をしてるんですよねぇ……?

「で、問題はここからなのだが……前年に比べて伸びがプラス20%以上……つまり成長著しいメニューには上向き矢印を……逆に伸びがマイナスのメニューには、警告として下向き矢印を表示させる」
「はい」
「では神通、前年比の項目を選択し、条件付き書式『アイコンセット』の設定を……」
「承知いたしました……」

 いつも思うんだけど、2人の授業って無駄に緊迫感が凄いんだよなぁ……なんでExcelの条件付き書式の設定なだけなのに、こんな命のやり取りみたいな凄まじい緊迫感が漂ってるの? それとも、艦娘さんってみんなそんな感じなの?

 フと気になって、教室入り口に移動し、事務所の大淀さんを見てみた。……あくびしてる。かと思えば、涙目のまま両手で上品にお茶をすすって、ホッと一息ついた。その様子は、さながら縁側のひだまりで日向ぼっこを亭主と楽しむおばあちゃんのようだ。緩みきってるぞあの人……やっぱ神通さんが変なのか……。

 ソラ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ