暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
節目の日
昼1
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てきた。いかん。無駄話で盛り上がりすぎたか。

「はい? どうしました?」
「えと……Accessの業務基幹ソフト開発の件なんですが……」
「あれがどうかしました?」
「ちょっと進捗をお伺いしたいんですが……」

 なんだそんなことかと思い、頭の中でそれとなく進捗を考えてみた。俺の視界の隅っこで掃除機の稼働を再開する、ソラール先輩の存在感が妙に気になるか……それに負けないよう、俺はできるだけソラール先輩の太陽と目を合わせないように気をつけつつ思い出す。

 大淀さんに開発をお願いされてからこっち、とりあえずマイペースで勉強しつつ開発を進めてはいるが……やはり自習しながらの開発となると、そうスムーズにはいかない。それに、通常の業務と平行してやってるから、どうしても優先順位は低くなる。

「……えっと……テーブルはすべて作りました。データの一部はダミーデータとして移行させてます。クエリもだいぶ出来てはいますが、まだ足りないクエリもいくつかありますし……フォームとレポートはまだ手を付けてない感じですから……」

 Accessで作成するソフトは、主にデータを格納しておく『テーブル』、データの入出力と閲覧を司る『フォーム』、データの出力に特化した『レポート』、そしてテーブルに入ってるデータの抽出と整形を司る『クエリ』の四種類の部品からなる。もちろん、データを格納するテーブルだけで運用することも、出来ないわけではないのだが、使いやすいソフトにしたいと思ったのなら、その四種類の部品の充実と相互連携は絶対に不可避だ。

 そして、今の俺の進捗は……『テーブル』は必要な分だけできている。『クエリ』もある程度揃ったから、データの抽出と整形も可能だ。ただ、入出力を司る『フォーム』と『レポート』は全く出来てないから、データの入れ物があって、整形することも可能だけど、中のデータを見ることは出来ない。そんな感じだ。

 だから、進捗としてはまだ30パーセントぐらいか? そもそもフォームとレポートは、大淀さんとソラール先輩……実際に扱う二人と相談しながら作りたかったし。とても見せられるシロモノではない。

 とはいえ、なぜ突然このタイミングで進捗なぞ気にするのか。まさか『あれから結構経つのに、開発遅すぎませんか?』とでもいいたいのだろうか……大淀さんはそんなことを言うタイプの人ではないと思うのだが……。

「でもどうしました? ちょっと遅すぎますか?」
「あ、いえ。そういうわけではないんです」

 何か理由があるらしい……掃除をソラール先輩に任せ、俺は一度大淀さんと共に事務所に戻った。大淀さんとの話の最中、隣の教室から聞こえてくる掃除機の音が異様に気になる……あのソラール先輩という人は、見た目だけではなく、音すらも目立つというのか……だか
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