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大淀パソコンスクール
節目の日
昼1
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「それはいいがカシワギ……」
「はい?」

 ソラール先輩が掃除機を運転を止めた。俺に背中を見せたまま前かがみでこちらを振り返り、目をキュピンと光らせて……いや兜が邪魔で、ホントに光ってたかどうかはよく分からんけど……『今度は俺の番だ』と言わんばかりに、振り返って俺をビシィッ!! と指差して迫ってきた。どこの弁護士だよ……。

「貴公はどうなのだッ!」
「はい?」
「この年末年始は、何か予定は……ないというのか!?」
「いや、何もありませんが……」

 鬼の首でも取ったかのように何を追求してくるかと思えば……さっきも言ったが、俺に年末年始の予定らしい予定はない。それは紛れもない事実。

 にもかかわらず、今、俺の目の前で再びアンニュイな盾をこちらに向け、それでバタッバタッと扇ぐ先輩は、一体何を言いたいのか……つーか何やってるんすか先輩。盾で扇がれても、こっちに涼しい風が届くぐらいですよ。わざわざ一歩踏み込んで、気合入れて盾で扇がなくても……。

「……何やってるんですか先輩」
「いや、貴公からパリィを取ろうかと……」
「貴公……」

 パリィって何だよ……それはそうと、なぜソラール先輩は、ここまで執拗に俺の年末年始の予定を確認してくるのか?

 自分は神通さんと初詣デートをする予定で幸せ一杯なんだから、別に俺のことなんか気にしなくていいだろうに。今から予定を立てていればいいじゃないか。初詣で二人で寒空の下、仲睦まじくお参りしておみくじひいて、そして初日の出を見ながらY字ポーズを取ればいいじゃないか。その幸せなスケジュールに、俺が介在する余地など無い。二人に幸せになってもらいたい俺は、介在するつもりもない。家でゆく年くる年見るだけだ。

「ほ、ホントに何もないのか……?」
「ないですよ?」
「これっぽっちも?」
「これっぽっちも」
「赤ちゃんの足の小指の爪先ほども?」
「微粒子レベルの存在すらないですね」
「貴公……」

 なんだ……俺の話のはずなのに、なぜソラール先輩ががっくりと肩を落とし床に膝をついてうなだれる必要がある? 自分はとても幸せ者のはずなのに、なんで俺の正月の予定を聞いて、こんなにもショックを受けてるんだ?

「どうかしたんすか?」
「いや……貴公、朴念仁と言われたことはないか?」
「……ないですけど?」
「貴公……」

 変なことを言う人だ。ソラール先輩のよく分からない発言はとりあえず無視することにし、俺は、残り少ない掃除用アルコールのスプレーの引き金を引く。コスコスという音とともに噴射されたアルコールは、もう少量しか出なくなっていた。

「カシワギさん、ちょっといいですか?」

 事務所で事務仕事をしていた大淀さんが、俺とソラール先輩の駄話に割って入っ
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