暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
責任とります

[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
りがとうございました」

 神通さんは、そう言って丁寧にお辞儀をしてくれる。

「あ、あ、いやいや……」

 慌てて俺もお辞儀をし返す。人間、目の前の相手に予想外の反応をされると、どうすればいいのか分からなくなってうろたえるよねぇ。

「姉はどうですか?」
「なんとか峠は超えました。今は気持ちよさそうに眠ってます」
「よかった……ソラール先生も心配してましたし……」

 俺のそばまで来た神通さんが、こそこそと小声で俺に問いかけるもんだから、おれもつい小声で返答してしまう。よく見ると、神通さんはその手にコンビニの袋をぶら下げていた。袋が透けてうっすらと見えるその中身には、サンドイッチや日用品に混じって雪印コーヒーのパックが確認できた。

「ぁあ、飲みます? 以前に姉から、カシワギ先生は甘党だって姉から聞いて、ひょっとしたら好きかもって思って買ってきたんです」
「大好きですっ」
「ではよかったらどうぞ」
「ありがとうございますっ」

 神通さんが柔らかい笑顔で袋の中から雪印コーヒーを取り出し、俺はそれを笑顔で受け取る。俺は、朝はアイスコーヒーが飲みたくなる。特に、甘ったるいコーヒーを起き抜けに飲むのが好きなのだが、それには、この雪印コーヒーはうってつけだ。早速パックを開き、腰に手を当ててぐぎょっぐぎょっと音を立てて飲んでしまった。昨夜の川内ではないが、俺も結構喉乾いてたのかなぁ。

「うまいですっ」
「よかったです」
「ありがとうございます神通さん」
「いいえ」

 ……ところで、なぜ神通さんは、俺がここにいたことを知っているのか。……あ、待て。確かみんなから話を聞いたって言ってたな。ついでに、ソラール先輩もこの事をしってるということは、ひょっとしたら二人は……

「神通さん」
「はい?」
「ソラール先輩はこのことを……」
「ええ。私が話しました」
「ソラール先輩とは……」

 気になって、先輩との関係を問いただしてしまったのだが……どうやら愚問なようだ。俺が質問した途端、神通さんは顔を真っ赤っかにして恥ずかしそうにうつむいた。

「え……あ、あの……」
「……」
「そ、その……」
「……おめでとうございます」
「あ、ありがとう……ございます」

 うん。もう、皆まで言うな。教室での二人の様子。そして今のこの神通さんの様子で分かるじゃないか。お二人共、末永くお幸せに。

 そして、神通さんはもうひとつ、気になることを言っていた。

「川内からも、俺がここにいることを聞いたんですか?」
「ええ。ちょうどカシワギ先生が買い出しに出てるときでしょうか。一緒にいたソラール先生から姉の調子を聞いて、心配になって電話をしてみたんです」

 そういや昨日、川内が神通さんを呼ぶのを
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ