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大淀パソコンスクール
責任とります
深夜2
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した川内は、そのままベッドに直行して、ゴロンと転がり上体を起こした。

「ポカリは?」
「飲むー」

 俺の背後でワガママを言う小娘に、テーブルの上のポカリのコップを渡す。結構のどが渇いていたのか、川内はグギョッグギョッと喉を鳴らし、煽るようにポカリを飲み干した。白い肌の川内の喉が、綺麗に上に伸びていた。

「ありがと。思ったより喉乾いてたみたい。んー……だいぶスッキリ」
「やっぱ着替えて正解だったな」
「うん。まだ暑いけど、だいぶ楽になった」
「そりゃよかった」
「だから、このままやせ」
「それ以上は言わせんっ」

――する?

 あの時の川内の、川内にあるまじき真っ直ぐな瞳を思い出し、なんだか胸が詰まる思いがする。

「ん?」
「……」

 なんだか川内の顔をまっすぐ見てられない。照れくさくて、俺はぷいっと川内に背中を向け、ベッドとテーブルの間に座ってAccessをいじる作業に戻った。

「せんせ? どうかした?」
「どうもしてない。だから早く寝ろ」
「はーい」
「何かあったら声かけろよ」
「んー」

 『ぽすっ』という音が聞こえた。川内は素直に寝転んで、布団を被って寝る体勢に入ったようだ。俺は川内の睡眠の邪魔をしないよう、意識して静かにタイピングを行う。居間の中に響くのは、パチパチという、いつになく静かな、俺のタイピングの音。

「……ふふっ」
「んー? どした? うるさいか?」
「んーん。聞いてて楽しい」
「そっか」
「んー」

 大きくなりがちなタイピングの音に気をつけて、静かにパチパチとコードを組む俺。今組んでいるのはvba。欲しい機能の中にあった、csvファイルの読み込みと整形機能だ。

「ちょっと見ていい?」

 俺の背後から、落ち着いた川内の声が聞こえる。時計を見ると、今は夜中の3時頃。帰ってきた頃からずっと寝てたから、川内も目が冴えたのかも知れない。『眠れ』と言われて『はい』と眠れるのなら、世の中で苦労する人の幾人かはいなくなる。それぐらい、無理矢理に眠るというのは、大変なことだ。

「目が冴えたのか?」
「うん。せんせーがどんなことやってるのかも興味あるし」
「気になるなら見てもいいぞ」
「はーい。よいっしょー」

 急にずっしりとした重みが、俺の肩と背中にのしかかってきた。川内が俺の背中におぶさってきたようだ。おんぶの時よりも幾分軽いが、それでも充分な重さがずっしりと肩にのしかかる。俺の顔の左隣に、川内の横顔があった。川内は俺にしがみつくように、肩に手を回してがっしりと掴んでいた。

「うお!?」
「いや、ベッドから下りるのもめんどくさいし」
「だからって甘えすぎだっ」
「いいじゃん別にー……うわ。なんかすごく難しそ……」


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