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大淀パソコンスクール
責任とります
深夜2
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かしくて本人には聞かせられないけれど……なんて思っていたら。

「うん。がんばる」

 川内が急に目をバチッと開いて俺を見上げた。やばっ……聞かれてたのか……今のエール……。

「……き、気分はどうだ?」
「だいぶいいよ。でも暑い」
「熱が下がってきてるんだよ。いいことじゃんか」
「うん。体中がべとべとする」
「……そら、コレだけ汗かいてりゃな」
「うん」

 川内が、もこもこと布団の中から両手を出した。そのまま俺に向かって両手を広げてくる。

「……せんせ。手」
「またかい……」
「んー」

 いいよもう慣れたよ……俺は両手で川内のほっぺたをはさみ、このアホの顔に新鮮な冷たさを提供してやった。まだまだほっぺたは熱いが、それでもさっき、ほっぺたに触れた時よりはマシな気がした。

「きもちい……むふー……」
「喉乾いてないか? ポカリあるぞ?」
「ちょっと喉乾いたかも……?」
「そっか。……着替えはあるか?」
「うん」
「んじゃ俺ちょっとポカリ取ってくるから、その間に一回着替えろ」
「着替えさせてよー」
「アホっ。ついでに濡れタオルあるから、それで身体も拭け」
「拭いてー」
「お前は一度、俺に何を口走ってるのか本気で考えたほうがいいっ」

 そうやってなぁ……先生をからかうんじゃありませんっ。

 『んじゃ台所にいるから』と一言言って、川内を居間に残し、台所に来る。閉じた引き戸の向こう側では、布団からもぞもぞと起きだした川内の、服を脱ぎ捨てるパサッという音、そして身体をごそごそ拭いてる音が聞こえてきた。

「……」

 冷蔵庫からポカリを取り出し、それを台所で見つけた大きめのコップに注ぐ。できるだけ意識をコップに向ける。居間から聞こえてくる音には注意を向けない。じゃないと、さっきのこともあって、なんだか色々とよろしくない想像が頭に働く。早く終われ……終わるんだ……ッ

「♪〜……♪〜……」

 今日一晩で、俺自身が何度も口ずさんだ鼻歌が、居間から聞こえてきた。この鼻歌ももう、この前と今日で、俺の耳にへばりついてとれなくなってしまったようだ。

「♪〜……♪〜……」

 だって、聞いてるだけで、なんだか気持ちが安らいでくるから。

「せんせー。身体拭いて着替えたよー」
「んー」

 引き戸が開き、川内が顔を出した。なるだけ平静を装い、そんな川内を出迎える。さっきの寝巻きは……手に持ってやがる。

「私、ちょっとこれ洗濯機に入れてくる」
「んー。洗面器は俺が片付けるから心配するな」
「はーい。ありがと」

 川内と入れ違いに居間に戻り、ベッドとテーブルの隙間に座ってパソコンをいじる俺。手に持ったポカリのコップはテーブルに置いた。程なくして洗面所から帰還
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