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大淀パソコンスクール
責任とります
深夜2
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った誰よりも、綺麗な女性だった。

「……」
「……」

 意を決した俺は……

「……」
「……」
「……ふんッ」
「つめたッ……!?」

 川内の首元に素早くアイスノンを滑らせ、その上に川内の頭を落とした。ぼすっという音とともに、アイスノンの上に投げ出された川内の髪はしっとりと湿っていて、まくらの上で少しだけ乱れていた。

 川内の首筋から手を離した俺は姿勢を正す。最高に綺麗だった川内の顔が、俺の鼻先から離れた。

「人をからかうのも大概にしとけーぃ」
「からかってないよ? 私はせんせーと夜戦したいよ?」
「いいからまず風邪を治せっ」

 腰に手を当て、世迷言を言う川内を、少し強めに諌めた。川内は俺の返事が不満なのか何なのか知らないが、眉間をハの字に歪ませて、頭の上にもじゃもじゃ線を生成しつつ、口をとんがらせてちゅーちゅー言い出す。こいつのこの癖は一体何なんだ。あの自称小説家の岸田のアホを思い出すから、その癖はやめていただきたいっ。

「……はーいっ」

 ふてくされたのか。川内は不満気にそう言うと、俺からぷいっとそっぽを向き、そのまま寝てしまう。そのまましばらく見ていたが、スースーという寝息がすぐに聞こえてきたから、どうやらまた眠ったようだ。

「ったく……いっちょまえに……」

 つい頭を撫でそうになり、慌てて手をひっこめた。今、こいつの身体に触れるのは不味い。俺が、いかがわしい意味でスッキリしたくなってしまう……。川内に背中を向けて座り、俺はAccessでの開発に戻った。

 その後も15分に一回ほどの割合で、川内の様子を見守る。洗面器に水を張り、それで濡れタオルを準備して、時折川内の顔を拭いてやった。

「……」
「ん……」

 さすがに熱が下がり始めて暑くなってきたのか、時々川内は布団から左手をだし……

「ん……」
「あだっ!?」
「んー……」
「んぐぐ……」

 背中を向けてAccessでの開発に勤しむ、俺の頭をぐしゃぐしゃと撫で回す。こいつ、本当は起きてて、さっき夜戦を断った俺に意趣返しでもしてるんじゃないかと、ちょっと勘繰ってしまうほど、かなり強烈に俺の頭を撫で回した。

「んー……いい加減、寝ぼけるのも大概に……」

 今回もこいつの左手は、俺の頭を撫で回す、川内の左手の手首を掴み、そのまま布団の中に戻してやる。それでもすぐに川内は左手を布団からだし、俺の服の袖を掴んだ。

「んー……」

 今度は布団の上に、川内の左手を置いてやる。そのまま右手で川内の額に触り、熱を測ってみた。心持ち、少し熱が下がってきたような……。

「うし。山は越えた」
「……」
「せんだーい。がんばれー……」

 こっそりとエールを送る。こんなん恥ず
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