第二十一話
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「えっと…………どうして?」
俺はなぜか真剣な顔付きの春雨を見ながらそう言った。
「私も木曾さんの事については知ってみたいと思ってましたから……じゃあダメですか?」
そう言いながらこちらを見上げてくる春雨。うーむ、なかなかの破壊力だ。
……断る理由もないし、そもそもこんな顔されたら断れる物も断れねぇな。
「分かった。もしかしたら他の人にも聞いて貰うかも知れないけど、そのときは頼むな。」
そう言うと春雨は顔を輝かせた。
「ありがとうございます!」
さて、流れで仲間が増えた訳だが……。
「昼頃になったら工廠に来てくれって言ってたんだよな……。」
今は〇九三〇。まだまだ時間がある。
これからどうするかな……青葉以外の奴に話を聞こうとしようにも変に時間が掛かるのもな……。
俺はどうしようかと回りを見渡した。しかし、この図書室、なかなか本の量が多いな。
「なあ春雨。お前ってよくここに来るのか?」
俺が春雨にそう尋ねると、春雨は、
「えっと、はい……。よくここで勉強したり調べものしたりしますから……。」
なぜか恥ずかしそうにそう答えた。成る程、春雨は他人に自分の努力する所を見られたくない娘か。
「……そう言えばさ、春雨って訓練の時、俺達とは違う訓練をしてるよな?しかも一人で。あれってなにやってるんだ?」
それは、だいたい三日前位の話だ。
俺は摩耶さんと一緒に砲撃の訓練をしていたとき、遠くの方に明石さんと一緒に向かって行っていた春雨を見たことがある。
なんだろうとは思ったが、「余所見してんじゃねえよ!」と、砲撃訓練中に魚雷を食らったせいで、その事がすっかり飛んでしまっていた。
「あー…………実践しないと伝わりにくいから、またいつか一緒に出撃するときにしますね?」
春雨はそう言って、本を片付け始めた。
……そうだ。
「なぁ春雨。手伝ってくれるお礼と言ったらなんだけどさ。俺にドイツ語の勉強をさせてくれねぇかな?」
そう聞いた春雨は驚いた顔をした。
「えっ………でもでも!私から手伝わせてくださいってお願いしたんですし……。」
「でも、単純に苦戦してるんだろ?」
「うっ………。」
うーん、と春雨は唸った。
それもそのはず、今回俺が読んだ文章……翻訳前はConan Doyle, der Sch?pfer von Sherlock Holmes Serie.日本語訳したら、コナン・ドイルはシャーロックホームズシリーズの作者だ、である。
こんなのに苦戦していたら、下手したら深海棲艦に沈められる方が早いかもしれない訳だ。……沈められると言
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