裏切り者に花束を
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。その為には手駒が足りんのでなぁ。嘘の情報を流し、イレギュラーハンターを此処に派遣するように仕向けたのだよ。だが――」
白髪の老人――ドップラー博士が、一つのチップを見せつける。
「もはや君がそれを知ったところで何の意味も無い。今からこのチップを君に植え付ける。……そうして君は、私の手駒となるのだ」
「何だと……!? くそっ、ふざけるなっ!! こんな、こんなものっ……!!」
幾ら暴れても拘束は外れない。
そうしてあがく俺のヘッドパーツに、そのチップが侵入した。
雨は好きだ。
物悲しくて、陰鬱で、余計な物音を洗い流してくれる。
ドップラー博士がドッペルタウンで反乱を起こし、イレギュラーハンターに任務が下った。
恐らくは近いうちに、エックスかゼロ――そのうちのどちらかが来るだろう。
近くなる足音、バスターの騒音。
俺の前に現れたのは――エックスだった。
「君は、行方不明になっていたマックじゃないか」
躊躇なく、ドップラー博士によって改造されたバスターを打ち込む。
それは着弾と同時にエックスの体を完全に麻痺させ、その動きを封じ込めた。
「フッフッフ。エックスお前は甘いな。オレはもうイレギュラーハンターではなくドップラー軍団の一員だ。悪いがお前を捕獲する」
鹵獲専用のマシン――ハンガーターを呼び出して、エックスを転送する。
「クッ……クククッ!!!ハハハハハハ!!!!」
ハンガーターに捕らえられたエックスを眺めながら、狂ったように笑っていた。
おかしい。
おかしい。
おかしい。
おかしくて、堪らない。
二度も世界を救った英雄が――自分では到底届かない場所にいた存在が。
自分如きにあっけなく捕らえられ、無様な姿を晒しているその事実が。
何よりもおかしくてたまらない。
「何が英雄だ! 何が希望だ! 俺如きに捕らえられる甘ちゃんハンターが!!」
笑う。
笑う。
笑う。
どの道に自分には未来も、希望も無い。
ならばせめてこの一時だけは、ほんの僅か――勝利の余韻に浸っていたところで問題はない。
「……来たか」
眼前に立ちはだかるのは、セイバーを携えた真紅のレプリロイド。
特A級ハンター、ゼロ。
その鋭い相貌には何を映しているのか。
言葉を発さないままに、俺はバスターを撃つ。
「――――」
消えた。
文字通り眼前から、ゼロの姿が完全に消失する。
そして――。
気が付いた時には、俺の体は真っ二つに切り裂かれていた。
「あ……あ……?」
ぐしゃりと、床に叩き付けられる。
二人のレプリロイドは俺に気も留めず、足早に去っていた。
「…………」
思考にノイズが走る。
視界はひどく点滅し、ひたすらに耳障りな雑音が響いている。
「エ……ック……」
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