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裏切り者に花束を
裏切り者に花束を
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した。


「…………」
一言で言えば、圧倒的だった。
的を破壊した数は実に数千を超え、それでいて未だに集中力を欠いている気配もない。
あれだけ柔和な顔をしていた表情は、トレーニングを始めたその瞬間からまるで別物のように鋭い表情になっており、ただ的を破壊していっている。
格が違う。桁が違う。
これが、二度にわたり世界を救った英雄――ロックマンエックス。

音を立てないようにトレーニングルームを出て、割り当てられた自室へと戻った。
「…………」
あまりにもバカバカしくて、声を荒げる気にさえなれなかった。


「俺に、特別任務?」
イレギュラーハンター総司令官から下った指令は、ドッペルタウンの調査だった。
何でも、世界最高峰の頭脳を持つドップラー博士の作り上げたドッペルタウンが、近頃ほんの僅かだが不穏な空気が漂っているらしい。
シップを手配し、早急にドッペルタウンへと向かう。
ドッペルタウンは平和そのもので、特に異常は見当たらない。
「……ちっ、ガセネタか」
何もないならばそれでいい。
せっかくここまで来たのだ、少しくらい羽を伸ばしても罰は当たるまい。

そこへ。

「フッフッフ。網にかかったのはキサマか」
「歓迎しよう、ようこそドッペルタウンへ」

見た事も無い二体のレプリロイドが、立ちはだかった。
一体は、全身が金色の騎士のような出で立ちで、みずら結をしたようなレプリロイド。
もう一体は、金剛力士像のような風体の、見るからにパワータイプのレプリロイド。

「私の名はヴァジュリーラ」
「我が名はマンダレーラ」

それぞれが名乗りをあげて。

「博士の命令だ。キサマを捕獲する」

絶望が、襲い掛かってきた。


「はああああッ!!!」
マンダレーラが突進してくる。
大きく飛びあって回避したところへ、既に上空に待機していたのか――ヴァジュリーラが剣を構えて突進してきた。
「ぐっ……!!」
後ろへ飛ばされたところで、すぐさま背後に回り込んだヴァジュリーラが俺を地面へと叩き落とす。
そうして地面へ待機していたマンダレーラに思いっきり殴り飛ばされ、石造りの壁に叩き付けられた。
「かっ……は……」
まるで話にならない。
僅か数回の攻撃を喰らっただけで、もはや体が動かなくなっていた。
「これだけ弱らせれば十分だろう。行くぞ、マンダレーラ」
マンダレーラが俺を軽々と担ぎ上げる。
そうして、俺の意識は闇へと消えていった。


目を覚ました俺は、どことも分からぬ場所に拘束されていた。
「目を覚ましたかね? イレギュラーハンターマック君」
白髪の老人が口角を釣り上げる。
「貴様……どういうつもりだ。何を目論んでいる!?」
「私はあの方の意に従い、世界を滅ぼすのだ
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