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責任とります
深夜1
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「うん。だし巻きでいい」
「よかった」
「うん」

 二人で食べる、静かな夕食。もし今日、川内が体調を崩さなくて、二人でどこかに飯を食いに行っていたら……

『カシワギせんせー!! この後の夜戦で何使うの!?』
『だから夜戦はしないって言っただろッ!!』
『照明弾使われたらやっかいだなー……私、実力が出せなくなる……』
『離れろ! まず夜戦から離れろッ!!』
『あでも!! 先制爆雷おにぎりで照明弾使われる前に撃沈させれば……!!!』
『食べ物で人を攻撃するな爆殺するなミンチにするなッ!!!』
『いやー楽しみだね!!! せんせーとの夜戦!!!』

 とまぁ、こんな具合で賑やかに飯を食い、場合によっては酒を飲んで、大いに盛り上がったのかもしれん。なんだかんだで、こいつはにぎやかで楽しいから。

 でも、案外こんな時間もいいのかもしれない。

「ふー……ふー……はふっ。……あったかい」
「……」
「……せんせ、ありがと」
「んー」

 お粥を食べる音が、背後から聞こえてる。お粥をスプーンですくう時の音が……玉子焼きを箸で取るときに、箸と皿が当たる音が、こんなに心地よく聞こえるなんて、考えたこともなかった。川内と静かな時間を過ごすだなんて予想外だったが、案外、こんな時間も悪くないのかも知れない。この前の時はそれどころじゃなくて、そんなこと全然考えもしなかったけれど。

「ごちそうさま。美味しかったよせんせー」
「んー。お粗末さまでした」

 こうしてしばらく二人で静かにご飯を食べる。準備していたお粥をすべて平らげた川内は、俺がお盆をどかした後、再び横になって布団の中にこもっていった。

 俺は川内のお盆に自分の食器を乗せ、台所に持って行って後片付けをはじめる。空っぽになった雪平鍋を見て、なんだか清々しい気分になった。そういや母ちゃん、『作った料理が全部無くなったら、気持ちがいい』って言ってたっけ。

「せんせー」
「んー?」
「お湯使って洗うんだよー?」
「あいよー」

 『お前は俺の母ちゃんかっ』といいそうになるが、そこはグッとこらえる。湯沸し器のスイッチを入れ、お湯が出るまで待った後、皿洗いを開始した。

「♪〜……♪〜……」

 あの、ケッタイな鼻歌を口ずさみながら。

「♪〜……♪〜……」
「♪〜……♪〜……」

 かすかに、居間からも鼻歌が聞こえる。あのアホも口ずさんでやがるのか。……でも悪くない。

 すべての皿洗いが終わり、蛇口を閉じた。戸棚にかけられたタオルで手を拭き、湯沸し器のスイッチを切って、居間に戻る。

「おかえりー」
「ただいま」

 川内の出迎えのセリフに気を良くしつつ、手のひらで川内の額に触れる。『ふぁ……』と川内が声をあげていた
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