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大淀パソコンスクール
責任とります
深夜1
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。途端にレンジが『ぶおーん』と気合を入れ始め、中のご飯がフィギュアスケートよろしく回転しはじめる。

「んー……」

 順調に電子レンジで温められているご飯を確認したところで、改めて冷蔵庫の中を見る。梅干しを取りつつ、他に何かおかずになりそうなものがないか探すのだが……やはり中にあるのは食材ばかりで、一手間かけないとおかずにならないものばかりだ。

「……?」

 フと、理科の授業で使ったビーカーみたいな容器が目に付いた。密閉できる蓋がついていて、洋画とかで、田舎のおばあちゃんがジャム作るときに使うようなガラス瓶だ。

「んー?」

 妙な好奇心にかられ、そのガラス瓶を引っ張りだした。中に入ってるのはあずきと、一本の鷹の爪。

「なんだこいつ。あずきなんか料理に使うのか」

 やっぱこいつ、料理をよくやるやつだ。あずきなんて、『趣味は料理です!!』て宣言するやつぐらいしか使わないイメージがある。大抵の人は出来合いのあんこ買ってくるだろうし。

 『チーン!』という小気味良いレンジの音が鳴った。俺はあずきを冷蔵庫の中に戻し、レンジの蓋を開けて、あつあつのお茶碗を手に取った。予想以上にお茶碗は熱く、思わず手を離しそうになる。

「♪〜……♪〜……」

 妙な鼻歌が止まらない。なんでだ。

 おかゆの火を止め、俺はとりあえず、ご飯と玉子焼きを食べた。うん。我ながら上出来。自分で作ったからか?

「せん……せ……」

 居間で眠っていたはずの、川内の声が聞こえた。レンジの音で起こしてしまったか……。口の中で咀嚼していたご飯を慌てて飲み込み、川内の元に向かう。少し眠ったせいか、帰宅したときと比べて、けっこう血色が良くなってきた。

「すまん。起こしちゃったか?」
「んーん……いい。冷凍庫のご飯、食べた?」
「すまん。断りなく、もらった」
「いい」
「あと、腹はどうだ? お粥作ったけど」
「作ってくれたの?」
「期待はするな。おかゆと玉子焼きだけだ」
「……食べるっ!」
「そ、そうか……」

 『食べる』の言葉に、妙に気合が入っていたような……まいっか。一度台所に戻り、目に付いたお盆にお茶碗と、玉子焼きが乗ったさらとスプーンと箸、そして鍋敷きを乗せる。

「♪〜……♪〜……」

 くっそ……台所で立ってると、あの妙ちくりんな鼻歌をついつい口ずさんでしまう……あのアホの鼻歌を聞いたせいだ……。

「……」
「♪〜……♪〜……!?」
「……」

 上半身を起こした川内と目が合った……見られた……聞かれた……俺の鼻歌、聞かれた……

「……」
「……」
「……ぷっ」
「笑うなァァアアアア!!」

 川内のお粥を乗せたお盆の隙間に、俺の分のご飯と玉子焼き、そして梅干
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