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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十三話 第七次イゼルローン要塞攻防戦(その3)
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いだろう。そして要塞を失えば帝国軍は駐留艦隊、遠征軍の合計七万隻の艦艇を失うのだ。



帝国暦 486年 5月 6日 13:00 イゼルローン回廊  帝国軍総旗艦 ヴィーダル   シュターデン



遠征軍は反乱軍の伏撃にも足止めにも合わずにイゼルローン回廊に到達した。回廊に入るまでは総旗艦ヴィーダルの艦橋は緊迫感に溢れていた。回廊に入りやや緩んだが今はまた緊迫感に溢れている。

現在遠征軍は回廊をイゼルローン要塞に向けて進んでいる。あと四時間もすれば要塞を確認できるだろう。つまり反乱軍の後背に出る事になる。戦いが始まる事を皆が理解している。大きな戦いになるだろう、両軍合わせて十万隻を超える艦隊が戦う事になる。

これまで遠征軍はイゼルローン要塞に向けて通信を行わなかった。通信を行えば反乱軍に傍受され位置を特定される。伏撃、足止めを食らえばそれだけイゼルローン要塞に辿り着くのが遅くなる。一日も早くイゼルローンに辿り着くべきで、そのためには通信はすべきではないと言うクラーゼンの指示に従ったのだ。

間違いではない、反対する理由は無かった。要塞に対して通信を行いだしたのは二日前からだ。クラーゼンはここまで反乱軍と出くわさなかった事を喜んでいる。通信をしなかった事が正しかったのだと自慢しているが、本心は足止めを、伏撃を受けるのが怖かったのだと思っている。

要塞救援に間に合わず反乱軍にイゼルローン要塞を奪われれば遠征軍は反乱軍の勢力範囲で孤立する。補給もままならず、悲惨な結末が待っている。それをクラーゼンは何よりも恐れていた……。

クラーゼンは反乱軍の攻撃を受けなかった事を、敵の後背に出られる事を単純に喜んでいるがどうもおかしい……。我々を回廊内に入れれば反乱軍は前後から攻撃を受ける事になる。本当なら反乱軍の勢力圏内で攻撃が有ったはずだ。何が何でも我々を撃破しようとしただろう、それなのに攻撃は無かった……、これをどう考えるべきか……。

クラーゼンを見た。多少の緊張は有るようだが反乱軍を挟撃できる、イゼルローン要塞を守る事が出来ると喜んでいる。反乱軍の攻撃を何故受けなかったか、まるで疑問に思っていない。単純に無線封鎖をしたからだと思っているのだろう。

戦いが終わればその事を声高に自慢するに違いない。うんざりした、何だってこんな馬鹿を担ごうと考えたのか……。他に人が居ないと思ったからか? そうじゃない、分かっている、こんな馬鹿だと思わなかったのだ。それが理由だ。

反乱軍は精鋭を揃えている、兵力は七万隻……。遠征軍は五万隻、イゼルローン要塞の駐留艦隊を加えても帝国軍は七万隻には届かない、こちらを撃破出来ると考えているのだろうか? いや、待て、手間取ればミューゼルが来ることを反乱軍は知っているはずだ。ヴァレンシュタ
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