暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
食事の予定は……

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えてて取れん。川内、ちょっと取ってくれ」
「りょーかい」

 俺のお願いを受けて川内は、左手で俺の上着に手を突っ込んできた。胸の右側を、内ポケットを探るように必死に弄っているが、そっちには内ポケットはない。

「逆」
「あ、そっか。ごめん」
「だからまさぐるやめような?」
「へへ……」

 ……だから、耳元でそういう普通っぽい、よろしくない声を上げるのはやめろって……川内は、今度は右手で俺の左胸内ポケットを探りだし、中に手を突っ込んでスマホを取り出した。

「画面見てみてくれ」
「……特に何も表示されてないけど……」
「大淀さんからメールかもしれん。いいからロック解除して中を見てくれるか」
「ロック?」
「1192」
「それ誕生日?」
「11月92日が誕生日ってどこの異世界出身だよっ」

 俺のスマホは指紋認証での解除も出来るのだが、今日みたいな万が一の場合に備えて、四桁のキーでも解除できるように設定してある。川内は俺のスマホのキーを解除し、俺に画面が見えるように、俺と自分の前にスマホを持ってきた。

 青いメーラーのところに、一通の未読メールがあることを知らせる赤いアイコンが表示されている。ひょっとしたら、大淀さんかも。さっきのメールの返事か?

「メール開いてくれ」
「? どれ?」
「その青くて赤いポッチがついてるやつあるだろ? それを、とんってつっついてくれ」
「はーい」

 俺におんぶされてるから、身体が揺れてタップしづらいのか……『むむむ』と唸りながら川内は、画面をとんっとタップして、メーラーを開いた。未読メールの送信者は……やはり大淀さんか。

「川内。その大淀さんの名前のところをもう一回つっついてくれ」
「はーい」

 今度は問題なくタップ出来た川内。メールを見る。内容はやはりさっきの俺のメールに対する返信のようで……

「カシワギせんせ」
「ん?」
「これはもう、私の看病確定だね」

 メールの最後は、『川内さんをよろしくお願いします』と書いてあった。

 これは……あれかー……やっぱ俺は今晩、看病をしなきゃいかんのかー……

「んー……」
「せんせ?」
「……まぁ、しゃあない。半分は俺の風邪が伝染ったからだし」
「ありがと……」

 仕方ない。俺も腹を決めた。今晩はこのアホの看病をする。この前のお礼も兼ねて。

「……せんせ」
「んー?」
「ごめんね……夜戦、付き合えなくて」
「言ったろ? 飯なんかいつでもいけるし、夜戦には付き合わん」
「……」
「いいから今は治すことだけ考えてろって。お前が夜戦夜戦ってうるさくないと、なんだか俺も調子が狂う……」
「うん……」?

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