暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
様子がおかしい

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ゃないかと思いつつ、俺は自分が座っている席のパソコンの電源を入れ、OSが起動したのを確認したのち、Accessを開く。帰り際の大淀さんに釘も刺されたし、少しずつAccessの方も進めていかないと。

「せんせーは今日もそれやるの?」
「ああ。でも分からないとこは、気軽に聞いてくれていいからな」
「はーい。寝込んでる時もちゃんと答えてくれたしね」

―― おやすみ……せんせ

 反射的に、川内に頭を散々撫でられたことを思い出し、顔に血が昇ってきた。

「は、早くやれいっ」
「? カシワギせんせー、なんか今日おかしくない?」
「おかしくないっ」

 誰のせいだ誰の……ええいっ。Accessに集中せねば……。

 今回、川内が作るカレンダーは、紙の上半分が一枚の大きな写真で、下半分が日付になっている、比較的オーソドックスでシンプルなタイプのカレンダーだ。そのため作成の手順としては、まず最初に紙の下半分に表を挿入し、サイズ調整が容易な画像は後から挿入する。

「ねーせんせー。ちょっといい?」
「んー?」
「テキストだとさ。『19行目まで改行する』って書いてあるけどさ」
「おう」
「実際自分で作るときはさ。何行目まで改行いれればいいのかな?」

 ……考えてみりゃ、テキストみたいに『〇〇行目まで空白で』て説明をされたら、じゃあ実際自分が一から作るときはどれぐらい開ければいいのか……てのは、初心者は悩むかもしれん。使い慣れた人からしてみりゃ『だいたいこんなもんかな?』て適当に済ませちゃうけど。

 とはいえ、実際に作るときのことを考えて質問してくるとは……やるな。夜戦小悪魔のくせに。

「行数よりも、全体のレイアウトをどうするか……てことに意識を傾けた方がいいぞ」
「そなの?」
「今回でいえば、カレンダーの上半分が写真で、下半分が日付が入ってる表だろ?」
「うん」
「んで、下半分の表から先に作るわけだから、だいたい半分ぐらいの19行目のところまで改行を入れてるんだ。これが上半分を日付にしたいんだったら別に入れなくていいし……要はレイアウト次第だ、行数はあくまで目安って感じだな」
「でもさでもさ。『紙の半分ぐらい』って言っても、紙の全体が写ってないから、どのへんがだいたい半分なのかって、分からないよ?」

 川内の指摘を受け、このアホの画面を覗いてみた。なるほど。表示サイズが150%になっていて、紙の全体が見えん。これでは半分の高さなぞ分かるはずもない。

「全体が見えないなら、見える倍率にすればよいではないか」
「?」
「『表示』タブに『1ページ』って項目があるから、それクリックしてみ」
「ほいほい?」

 言われるままに『表示』タブをクリックする川内。ボタンはあまり大きくないので目立た
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