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大淀パソコンスクール
様子がおかしい

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いるような、そんな感じが……。大淀さんを見ると、クスクスと微笑みながらパーテーションの向こう側を眺めているが……

「大淀さん?」
「はい?」
「何か知ってるんですか?」
「本人に聞いてみるといいと思いますよ?」

 そう答える大淀さんの柔らかい笑顔には、ほんの少し、いたずら心が見え隠れしていた。

 今一納得出来ないまま、頭を捻りつつ教室へ入る。教室ではハゲ頭のモチヅキさんがExcelで条件付き書式を設定し、黄金糖のタムラさんがWordでカレンダーを作っていた。カレンダーは今晩、川内も挑戦する予定になっている。

「ぁあカシワギ先生! ちょっといい?」
「ああはい。タムラさん今行きますよー」

 タムラさんに呼ばれ、俺は彼女の席へと急いだ。神通さんとソラール先輩の席を素通りする時、2人のこそこそ話が偶然、耳に入ってきた。

『教室ではいつも通りって約束したじゃないですかっ(こそこそ)』
『あ、いや……しかし神通……(こそこそ)』
『もう……しっかりして下さいっ(こそこそ)』

 ……んー? 教室では? いつも通り? んー?

 ……あ。なんとなく分かったかも。ひっとしたら、俺が熱を出してくたばってたその時、あの2人は一緒にいたのかもしれない。とすると、さっき俺の看病がうんちゃらかんちゃらって時に、妙に歯切れが悪かった理由も、なんとなく理解出来る気がする。

 そう思い当たると、不思議とソラール先輩のあのバケツ兜のほっぺたあたりが赤くなってるように見えるから、人間不思議なものだ。2人ともいい人だから、幸せになってもらいたいね。

「先生! カシワギ先生!!」
「ぁあごめんなさい。えっと……どうしました?」
「はい。作る順番なんですけど、カレンダーでもやっぱり、入力から始めるのよね?」
「そうですね」

 タムラさんに声をかけられ、慌てて自分の仕事に戻る。タムラさんの画面はまったく入力がされてない白紙の状態のままだった。カレンダーは表と写真数枚によるシンプルなものだが、今まで作ってきたプリントに比べると、見た目で手順が分かりにくい。そのため、タムラさんは手順に迷い、手を付けることができなかったようだ。

「でも今回作るカレンダーって、日付の表と写真しかないわよ?」
「その時は、まず表から作っていきましょ。写真は大きさの調整が楽ですけど、日付の表の部分は、一回作っちゃったら調整が大変ですから」
「はいー。ありがとう先生」
「いえいえ。分からないことがあったら、また聞いて下さい」
「そしたらまた先生に黄金糖あげるわね〜」
「俺、虫歯になっちゃいますねぇ」
「「あはははは〜!!」」

 タムラさんと共に大笑いしながら、壁掛け時計を見る。授業が開始してすでに20分。今日は岸田さんも来るは
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