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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第595話】
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いたようですが。 生憎と彼を推し進めても旨味はないのですよ」

「旨味……?」

「そう、旨味です。 彼にはネームバリュー及び商品価値が無さすぎる上に適性が低い。 勿論この試合を見たものの中には評価を変える人間も居ることでしょう。 我々IS委員会は各国の助成金で成り立っていますが、それだけでは運営が難しいのですよ。 来年行われるモンド・グロッソの運営資金捻出の為にも、織斑一夏君には次世代ブリュンヒルデ――否、ジークフリートとして旗柱になってもらいませんとな。 まあついでに煩わしい女尊男卑という世論も、取り払いたいものですしな」


 オーランドの高笑いが響き渡る――女尊男卑の中、そんな事を言い出せば普通なら村八分扱い。

 だが彼はIS委員会議員という権力がある、他の会社社長の様に権力があれば女尊男卑も関係ない。

 力あるものに逆らうのは愚の骨頂――。


「おっと、どうせ勝負も決まるでしょう。 まあ仮に有坂ヒルトが勝とうとも、次の相手にゃ敵う訳ないですからな」


 パイプ椅子から立ち上がったオーランドに、ダスティは――。


「オーランドさん、どちらへ行かれるので?」

「トイレだ」


 それだけを言い、携帯を取り出すと何処かへ連絡を取りながら消えていった。


「……貴殿方も、彼の代表候補生選出には反対なのですか?」
「え? い、いや、私はその……」

「ま、まあ反対ですかな……」

「と、とはいえ……再考の余地はあるとはいえますが……」


 そう呟く反対派の面々――もしかしたら、ヒルトが活躍すれば取り込める可能性もあるかもしれない。

 仮に無理でも、無数のドローンカメラに撮られた映像を見せれば確実に賛成に持っていける。

 レイアート自身、その為にも試合のレポートを録り続けるのだった。

 そして、学園上空。

 まだ諦めていないヒルト――ますます紅い光を宿す眼差しは鋭くなっていく。

 未来もヒルトが諦めてない事を悟ったのか、右腕部クサナギブレードを振るう。

 そして――また互いに交差する黒と白――一撃でも当たれば負けるヒルトだが不思議と未来の動きが読めていた。

 次にどう攻撃するか、どう避けるか――集中力が増し、まるで未来の動きがゆっくりスローモーションでハイパーセンサーに捉えていた。

 避けた先に北落師門の一撃――カウンターを仕掛ける未来の一撃は身を逸らして避け、カウンターで反撃。

 この時のヒルトは無意識下で本来の力を発揮していたのかもしれなかった。

 疲労の溜まった身体、無駄な動きを無くし最小の行動だけで避け、一閃を加える。

 そして――無我の境地に達したその時、試合終了のブザーが鳴って我に返った。


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