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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第594話】
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の権限があるとは思えない、だが不明瞭な事で学園全体を混乱させるのも良いとは思えなかった。


「……山田先生が使ってる機体は彼女が代表候補生だった頃の機体です」

「ふむ? ……それはつまり、専用機という事ですかな?」

「……えぇ」

「成る程。 ……劉さん、今のを聞きましたな?」

「勿論です! 私のこの耳! でちゃんと聞かせていただきました」


 オーバーアクション気味の劉に、オーランドは。


「では……山田先生。 この有坂ヒルト代表候補生選出の為の試合、出ていただけますかな?」

「え? そ、それは……一応、教師ですし、むやみやたらに生徒と戦うのは如何なものかと……」


 事実そうだ、授業で模擬戦や御手本を見せることはあっても生徒と戦うのは教師の本分ではない。


「ふむ。 ……出ていただけないのであれば、我々は視察の時間が迫っているのでおいとまさせていただきますかな」

「……ッ!!」


 苦虫を潰した表情になる千冬――この男にどれだけの影響力があるのか知らないが、委員会が一枚岩ではないこと、大半が有坂ヒルトの候補生選出に同意をしていない事――もし今、反対派が帰ればヒルトが全員に勝とうとも、真耶が戦わなかった事実をあげて確実に槍玉にあげる筈だ。


「……山田先生、準備をしろ」

「え? ……で、ですが織斑先生――」

「準備をしろ。 この模擬戦の勝敗の行方はわからないがな」

「……はい」


 千冬の表情とその言葉に、自分達の力の無さを痛感した二人。

 ヒルトは負ける――教師である自分達がヒルトの候補生選出に立ちはだかる壁になるのだから。


「ハッハッハッ、結構結構。 会長も仰ってましたからな。 【専用機持ち全員と戦って勝利】したら――とね?」

「左様、私もちゃんと聞きましたからな。 この耳で!」


 満足そうに笑う二人に、千冬はぐっと握り拳を作り、堪えるだけだった。
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