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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十一話 第七次イゼルローン要塞攻防戦(その1)
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た、迅速な御手配、有難うございます」
私が両元帥に礼を言うとゼークトも礼を言った。それを聞いてからエーレンベルク元帥が厳しい表情で我々を注意した。

『後は遠征軍が戻るのを待つのみだ、それまでの間、両名は協力してイゼルローン要塞を守れ』
「はっ」

やれやれだ、そう思うのなら指揮系統を統一してほしい。同じ職場に同格の司令官を置くなど嫌がらせにしか思えん。毎回反乱軍が押し寄せる度に協力して戦えと注意するつもりか? 馬鹿げているだろう、隣にいるゼークトの顔を見て思わず溜息が出そうになった……。



帝国暦 486年 4月 27日 08:00   ボーデン星系   ミューゼル艦隊旗艦 タンホイザー ラインハルト・フォン・ミューゼル



「それにしてもイゼルローン要塞を攻略とは……」
「意表を突かれましたな、参謀長」
ケスラーとクレメンツが話しているのを聞いて思った。同感だ、確かに意表を突かれた。

中将に昇進後、一万隻の艦隊を率いる事になった。その他にメックリンガー少将、アイゼナッハ少将、ビッテンフェルト少将、ロイエンタール少将、ワーレン少将、ミッターマイヤー少将が三千隻を率いている。ミュラー准将は俺の艦隊の分艦隊司令官として三百隻を率いる事になった。

司令部の要員も新たに編成しなおした。当初メックリンガーを参謀長にという事も考えたがケスラー、メックリンガー、クレメンツと話し合い参謀長にケスラー、副参謀長にクレメンツと言う布陣になった。

政略面でケスラー、戦略戦術面でクレメンツ、そういう事だ。ケスラー、メックリンガーという組み合わせも考えたがクレメンツの方がヴァレンシュタインの事を良く知っているという事でケスラー、クレメンツの組み合わせになった。

皆、真の敵が誰なのか分かっている。今回の反乱軍の動きもあの男の考えだろう。遠征軍の撃破と見せかけて、イゼルローン要塞の攻略を狙っていた。
「問題は遠征軍が何時イゼルローン要塞に戻ってくるかだが……」
ケスラーの言葉にクレメンツが顔を顰めた。おそらくは俺も同様だろう。

「卿らは遠征軍が戻って来られると思うか?」
「……」
俺の問いかけにケスラーもクレメンツも黙して答えない、いや答えられない。

皆、厳しいだろうと考えているのだ。当然だが反乱軍、いやヴァレンシュタインは戻ろうとする遠征軍を足止めしようとするはずだ。かなりの大軍を動かしているだろう、遠征軍は簡単にはイゼルローン要塞には戻れない、時間だけが過ぎてゆくことになる。

「時間が経てば経つほどイゼルローン要塞が陥落する可能性が高くなる。遠征軍には焦りが出るはずだ」
俺の言葉にケスラー、クレメンツの二人が頷いた。イゼルローン要塞が落ちれば遠征軍は帰路を断たれる。その恐怖感は時間が経つにつれ
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