暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
55.漆黒の乱入者
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監獄結界の中で金属同士がこすれあう乾いた音と獣の叫びのような声が響く。

「ぐぁああ……ァ! あァ───!」

「彩斗君!」

鎖を引きちぎろうとする彩斗を止めようと近づこうとするが魔力によって生み出された衝撃波が行く手を遮ってその場にとどまることでさえ精一杯だ。

「仙都木優麻、逢崎友妃を連れて逃げろ! このままでは持たん!」

虚空から伸びる銀色の鎖が彩斗へと絡みついていく。しかしその多くは、衝撃波によって打ち消される。
このままではいけない。
彩斗の記憶は蘇ることができず、暴走によって立上に対抗することもできなくなり、那月の監獄結界が壊されれば、大きな痛手を負う。
それは最悪の状況になる。
それだけはなんとしてでも阻止しなければいけない。

「友妃! 僕の手を掴んで!」

優麻がこちらへと手を差し伸べる。前方には蒼の甲冑の騎士が衝撃波から優麻を守っている。
この手を掴めば友妃は安全な場所へと避難できるかもしれない。
だが、それは立上への対抗する手段がなくなることを意味する。
第四真祖である暁古城と剣巫の姫柊雪菜なら立上をもしかしたらなんとかできるかもしれない。しかし、彼を確実に倒すためには一度彼を倒して“神意の暁(オリスブラッド)”となっている緒河彩斗の力が必要不可欠だ。
未だ彩斗の記憶から立上をどのようにして倒したのかはわかっていない。
それどころか彩斗は祭典に無理やり参加してきたということさえわかっている。
このままここで引き下がるわけにはいかない。
無力で無知で無謀だったあの頃とは違う。
彼の力になり、彼から力をもらった。
だからここで諦めるわけにはいかない。
伸ばされた手を掴むことなく強く夢幻龍を握りしめて彩斗の元へと駆ける。

「友妃!」

「あのバカ」

彩斗から流れ出る魔力の衝撃波は那月の戒めの鎖(レイジング)によって先ほどよりは威力を弱めている。
この機に一気に距離を詰めて夢幻龍の無力化の能力で暴走の源たる過去へと強制的にアクセスさせている魔道書“No.014”を消しさえすれば止まるはずだ。
魔力の波動をかいくぐり、あとわずかで剣先が届くところまではきた。
しかし、彩斗に近づくにつれて魔力は嵐のように襲いかかってくる。
一瞬でも気を抜けば、吹き飛ばされてしまいそうだ。

「彩斗君、ごめんね!」

友妃は魔力を無へと還す刃が彩斗にへと振り下ろそうとしたその時だった。

『落ち着いて、彩斗』

誰かの声。それとともに夢幻龍の刃が乾いた音を立てて彩斗の前で何かに弾かれる。
その瞬間、バランスを崩した友妃の体は魔力の嵐に巻き込まれて吹き飛ばされる。

「“(ル・ブルー)”!」

吹き飛ばされた体を支えたのは、蒼い甲冑を身にまとっ
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