暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
色々な意味で予兆

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けどさ。用事だから仕方ないんだー」
「全然残念じゃない。むしろひき肉にならなくてラッキー以外の何者でもない」
「せんせーも調子悪そうだし、今日は早めに上がったら?」
「さてはお前、俺の話を聞く気がまったくないな!?」

 とはいえ、用事があるのなら仕方ない。あとで大淀さんに連絡とって、今日は一時間早く終わりにするか。

「分かった。……んじゃ今日は一時間早く終わるか」
「りょーかい。ありがとせんせー」
「んー」

 ……なんでだ。なんで俺は今、少し『つまらん』と思ったんだ。

「……ニヤニヤ」
「……ん?」
「やっぱせんせー、あとで夜戦する?」
「するわけがない」

 というわけで、今日は川内は、いつもの半分の時間だけがんばって、家に帰ることになった。俺も、途中まではがんばっていたのだが……

「……ありゃ」
「んー? せんせーどしたの?」
「んー……」

 リレーションシップの設定が終わり、クエリの作成をしていたとき。クエリの名前を『受講履歴一覧クエリ』としたつもりが『じゃみうの力てチセなく桶』という、見ているだけで悪寒が走る、気色悪いクエリ名になっていた。

「ホントに大丈夫?」
「大丈夫は大丈夫だけど……げふん……俺は今日はもう、やめておいたほうが良さそうだ」
「だね。だったら私の夜戦を見ててよ」
「なんでそう、お前が言うといかがわしいんだろうねぇまったく……げふんっ」

 と、己の体力と気力の限界を感じ、俺は黙って川内のプリント作成を眺めることに徹する。何かまずいところがあれば厳しい突っ込みを入れる気マンマンでいたのだが……

「んーと……これで高さを揃えて……」
「げふっ……」
「うっし……あとは中央配置にすれば……」

 川内は殊の外詰まる様子もなく、綺麗な表をさくさくと作り上げていった。簡単な構成のものはもちろんのこと、入り組んだ構造の複雑な表も、安々と作り上げていく。複雑な構造の表って、最初に挿入する表の作成なんかけっこうセンスというか、経験が必要だったりするんだけどな……。

「なー、川内」
「んー? なにー?」
「お前さ、家でも練習してる?」
「してるよー。なんで?」
「……いや。げふんっ」

 そう答える川内の横顔は、妙に凛々しく見えた。

「んー? どしたの?」
「なんでだ? げふんっ」
「いや、こっちをじーっと見てたから」
「『私の夜戦を見ててね』って言ったのはお前だろ……えぐしっ!?」
「さてはカシワギせんせ、私と夜戦が出来ないことが……」
「いいから早くそこのセルを分割しろよ」
「はーい」

 一枚のプリントを作り終えたところで、川内は帰ると言い出し、今日の授業はこれで終了となった。さっきはあんなに夜戦夜戦って言ってたの
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