暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
色々な意味で予兆

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でいきます」
「あ、それでさ。俺、自作の小説持ってきたんだよ。女の先生に電話をもらってさ」

 ……ほう。すでに大淀さんが手を回してくれていたのか。それなら話が早いな。今から新しいファイルを作らなくて済む。

「承知しました。ありがとうございます。では岸田さん作の小説を使って、機能の説明をしていきますね」
「あいよー」
「んじゃ、まずはそのファイルを開いて……あいや、ぐばってして下さい」
「はいー」

 本当はさ……『開いて下さい』って言いたいんだけどさ……なんかめんどくさいことになりそうだからさ……

 岸田さんはUSBメモリを胸ポケットから取り出し、それをパソコンに差し込んで、中にある『殉教者の魔弾』というWordファイルをダブルクリックして開いていた。なんだか妙なタイトルだなぁ……開いたファイルはやはり小説らしく、中々のページ数と文字数を誇っている。Wordファイルでページ数168とか文字数17万字とか、初めて見た……。

「ちなみにこれ、ネット上で公開してるんだよ」
「へー。評判はどうなんですか?」
「聞かないでよ……」
「貴公……」

 web小説界隈の詳しい話は知らないが……聞けば、続編でリベンジしたいんだとか。ぜひともがんばっていただきたいっ。

「それはさておき、岸田さんのこの作品、各話で区切ってますよねぇ? たとえば、『第一話:べっぴんな夜戦バカ』とか」
「うん。確かに」

 気のせいか……俺の背後から神通さんの熱い視線が向けられている気が……

「んで、執筆中に前の方の文章を確認したくて戻る時、普通にスクロールしてます?」
「うん」
「それ、例えば12話の文章を書いてて『6話の内容を確認したいッ』て時に、バシッと6話に戻れたら便利だと思いません?」
「そら便利だねぇ」
「それが出来るのが、スタイル設定なんですよ」
「ほほう」

 スタイル設定てのは……文字列に対して、『タイトル』や『見出し』といった属性を持たせてやる機能だ。そうすると、Wordは『これがタイトルなんだったら、タイトルらしい書式設定にしてやるわ』と自動的に書式設定を行ってくれる。

「もっと深い意味があるんですけど、とりあえず今はそう覚えていて下さい」
「なるほど」
「一回やってみましょうか。ちょっとタイトルの『殉教者の魔弾』てところ、ズリズリと選択してみてくれますか?」
「音読しないで……なんかちょっと恥ずかしいから……」
「す、すみません……」

 少し顔を赤くしながら、岸田さんはタイトルの文字列『殉教者の魔弾』てところをズリズリと選択していた。赤面はしてるが、鋭い眼差しで真剣に画面に向かい合っている。

「えぐしっ!?」
「風邪?」
「し、失礼……ずずっ」

 なんか鼻水出て
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